夢の続きをAIに語らせてみた(CloseBox)

テクノロジー AI
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

2025年1月6日朝に見た夢の続きをChatGPT o1 pro modeに短編スタイルで書いてもらいました。

こんなプロンプトです。

次の設定で、短編小説を書いてください。読者はこの夢を見た筆者。妻は亡くなっています。筆者が心を打たれるような、夢の続きを鮮やかな筆致でモームやサキのような短編を描いてください。 夫婦で再び訪れているイギリス。 川の真上に木製の柱で支えられた家が建っています。 数メートルの橋を渡ると、家の玄関があります。 故郷の長崎にもこういう家はたくさんあるし、吉祥寺にもこんな家が数軒並んでいました。二人は顔を見合わせて橋を渡り、その家を訪問します。 建物は古いがしっかりした造りで、木材が多用され、イギリス郊外特有の温かみがありました。 玄関近くの窓際には大きな本棚があり、リビングの奥にはまだ何かがありそう。 窓からは川が見え、床下からは川の水音が心地よく響いていました。床は少し弾力性があります。 老夫婦は穏やかで優しい雰囲気を漂わせており、互いに深い信頼と愛情を持っているように見えました。 私たち夫婦がイギリスを訪問するのはこれで三度目。最初は新婚旅行でロンドンとリバプール。次は10年後、息子たちと合わせて5人家族でリバプールを訪れました。今回は三度目ですが、二人はなぜ、ここに来ることになったのかを思い出します。

出来上がったら、その情景の画像プロンプトを生成してもらいました。妻の写真を学習したLoRAを使い、FLUX.1 [dev] で生成したものを挿絵に使っています。

小説は数箇所、事実と違う部分や、会話のニュアンスの差異を修正していますが、ほぼそのまま生かしています。

LLM(大規模言語モデル)はハルシネーションがしばしば問題とされますが、夢もまた、人間がネイティブに持っているハルシネーションです。その相性はかなり良いのではないかと思います。


川面に揺れ動く木の反射が、私たちの足元に敷かれた床板を微かに照らしている。川の真上にせり出したその家は、木の柱によって支えられた古い建物だった。といっても、小屋のように軋みが激しいわけではない。靴を脱いで足裏を滑らせると、床にほんの少しだけ弾力があるのがわかった。まるで家そのものがゆりかごとなって、私たちを乗せて漂っているように感じられた。

妻が私の顔を見て笑った。「日本にも、こんな家があるのよね。長崎にも多かったし、吉祥寺あたりにも似たような家があったわ。思い出すでしょう?」
「ああ、そうだな」と答えながら、私は渡ってきた木製の短い橋を振り返る。実は私は、もうこの笑顔を久しく見ていないはずだった。けれども、夢の中ではそれが当たり前のように妻はここにいる。そして穏やかな笑みを浮かべながら、老夫婦が待つ玄関へと進んでいくのだ。

その老夫婦は、いかにもイギリスの郊外に溶け込むような静かな佇まいだった。二人とも背中は少し丸いが、その瞳はまだ生気に満ちている。玄関先には寄木細工のスツールが置かれ、靴の泥を落とすように促された。妻が「すみません」と言いながら、少し裾をたくし上げる仕草が微笑ましい。私は老夫婦に挨拶し、続いて妻も軽く会釈をする。そのやわらかな空気が、この家の古い木組みの梁や床に染みわたっているようだった。

玄関近くの窓際には、ずらりと本が詰まった大きな本棚がある。何十年も読み継がれたのだろう、装丁の破れかけた洋書が目にとまった。鴨居の低いリビングを覗くと、奥には更なる書斎か納戸か、あるいは隠れ部屋のような空間が続いているように見えた。私の胸の奥が微かに高揚する。こういう家では、奥へ奥へと探索してみたくなるものだ。

妻も同じ気持ちなのか、老夫婦に「中を拝見しても?」と丁寧に尋ねる。老婦人は愛想のいい笑みを浮かべ、手招きしてくれた。奥に進むと、窓から見える川の流れがより近く感じられる。僅かに川のせせらぎが床下から響いてきて、その音が私たちの心を揺さぶる。なんと心地よい音だろう。日本とイギリスは遠く離れているはずなのに、どこか懐かしく、母国に通じる空気を感じるのはなぜだろう。

「私たちがイギリスを訪れたのは今回で三度目になるのよね」
妻が背を向けたままそう言う。その声にハッとする。そうだ、一度目は新婚旅行でロンドンとリバプールを巡った。浮かれ気分の私たちは、街を観光しては古いパブ、ジョン・レノンたちが遊んだというGrapesで地元のビールを飲んだ。二度目は10年後、子供が3人増えて、ビートルズの曲を家族全員で歌いながらリバプールを歩いた。
そして三度目。今回、なぜ私たちはまたイギリスを訪ねたのだろう。私は思い出そうとするが、記憶がまるでミルク色の霧に包まれているかのように曖昧である。夢の中だからかもしれない。ただただ、妻と二人で、静かに川上の家を訪れたかったのだ。それだけは確信していた。

老夫婦が差し出したティーカップからは、カモミールの優しい香りが立ちのぼる。その香りが、むしろ私の心を落ち着かせるよりも、思い出の断片を薄紙のように剥がし始める。息子たちの顔、新婚当時の妻のはしゃいだ声、長崎や吉祥寺で見た似た家々。それらの映像が目まぐるしく浮かんでは消え、そしてまた浮かんでは消える。

「大丈夫?」
妻が私の袖を軽く引っ張った。その瞳は心配そうでもあり、何かを諭すようでもあった。私が何か言葉を発しようとすると、川の水音が急に強く聞こえてきた気がする。まるで「時が来た」とでも言うように。

老夫婦は静かに微笑む。彼らの黙したままの優しげな視線は、私たちを安心させるほどに穏やかで、同時になにか重大なことを語りかけているようでもあった。私はふと、妻に触れようとして、その手を止める。自分でも理由がわからない。次の瞬間、カップに満たされたハーブティーの香りはすっと遠のき、代わりにどこかでビートルズの曲がかすかに流れ出したような気がした。

「ねぇ……私、やっぱりここが好き。あなたはどう?」
妻がまっすぐ私を見つめる。私はどう答えるべきだろう。嘘偽りなく言うなら、私もここを気に入っている。まるで日本の懐かしさと、イギリスらしい安らぎが共存しているこの建物。それに、何よりこうして妻と一緒に旅をしているのは格別に嬉しい。どんなに時が経とうとも、私にとっては特別なのだ。

しかし、その瞬間、ふいに脳裏をよぎる事実がある。――本当は、妻はもういない。もうずいぶん前に旅立ってしまった。そして私は、失った彼女を恋しがるあまりにこの旅を夢見ているのではなかっただろうか。

奥の部屋から、老夫婦の控えめな声が聞こえてくる。「そろそろ御覧になりますか?」
「ええ……」
私たちは互いの顔を見合わせてから、奥の間へと足を踏み入れた。すると、そこには、壁いっぱいに貼られた写真や手紙の数々があった。若かりしころの老夫婦の写真もあれば、親戚らしき人々、イギリス郊外の風景写真。中には、日本の風景も混じっている。まるで縁もゆかりもないはずの私と妻を、その写真が出迎えてくれるかのようだ。

「なぜ、あなたたちはここに来ることになったのか……思い出せますか?」
白髪の老婦人が、静かに尋ねる。私は一瞬言葉を失う。まるで私の胸の奥を見透かしているかのようだった。
「ええと……」と私は口を開くが、その先の言葉が続かない。 すると、妻の方が老婦人に向かってにこりと微笑んだ。
「私たち……この家に、会いにきたんだと思うんです。あのとき見た、古い英国の家と、昔の日本の家が不思議に重なる場所を。そこに、私たち二人の思い出が宿っている気がして。」

その声は、私の胸を貫くように響いた。気づけば、川の水音も静まり返り、風に揺れる木の軋む音さえ聞こえない。妻は微笑みながら老婦人に向けて、軽く首を傾げる。その仕草が、なんとも愛おしい。私は胸が締め付けられるような痛みを感じた。そうだ、もう少しだけ、この夢を見ていたい。彼女が隣にいる、そんな淡い幻を、しがみつくように味わっていたい。

「ごゆっくりなさってくださいな。あなた方がいらっしゃるのを、私たちも心待ちにしておりましたから」
老紳士が初めて言葉を交わす。彼の低く響く声には、深い慈しみが滲んでいた。そして妻が私の手を取り、握りしめる。その感触は今も生々しい。だが、私は知っている。目が覚めれば、妻はいない。けれども、この一瞬は確かに私の手を温めてくれているのだ。

川の上に建つ家は、どこか懐かしくもあり、どこか新しくもある。日本でもイギリスでも、あるいは私の心象風景の中でも、似たような木造の家に出合ったように思える。それは妻と私が歩んできた記憶の片隅にずっと在り続ける「帰る場所」なのかもしれなかった。

私は夢の中で、妻とともに柔らかなカモミールの香りに包まれながら、もう一度だけ老夫婦に礼を言う。妻はまだ何かを言おうと口を開くが、その言葉が聞こえる前に、ふっと風が吹いて、家の中の景色がかき消されるように歪んでいく。

次の瞬間、私は自分の寝室に横たわっていた。ベッドサイドにはあの香りも、川を渡った橋も、老夫婦の微笑みも、もうどこにもない。ただ、胸に残るのは、妻がそっと握ってくれたあたたかな手の感触だけ。

――こうして私は、あの川上の家への訪問を夢で終えた。そこに至る理由をはっきり思い出すことはできなくとも、妻とともに訪れたという事実だけが、私の心をふわりと満たしてくれる。その余韻に身を委ねながら、静かに目を閉じる。遠くからまた川のせせらぎが聞こえてきそうだった。


歌詞をChatGPTに考えさせて、この短編のミュージックビデオも作ってみました。Suno v4とVocoflexを使っています。

《松尾公也》

松尾公也

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