みなさんこんにちは、香港在住の携帯電話研究家の山根康宏です。Punkt.というメーカーを覚えていますか?

ミニマリスト向けともいえるシンプルなフィーチャーフォン「MP02」を日本でも出していましたが、現在はセキュリティ機能を高めたスマートフォン「MC02」をヨーロッパの一部の国で展開しています。

このMC02はAndroid 13 / AOSPベースのApostrophy OSを搭載。「ホーム」と「パブリック」2つの環境を持っています。 ホームではメールやカレンダー、連絡先などに独自アプリを搭載し、グーグルアプリのように個人的な情報送信はされません。
また、パブリックスペースではGoogle Playからアプリのインストールができます。ただし、後述する機能でアプリ個別のアクセス機能を個別に制御できます。

チップセットはDimensity 900、メモリ6GB、ストレージ128GB、6.67インチディスプレイ、5500mAhバッテリーと性能はエントリー。カメラは6400万画素+超広角800万画素+200万画素マクロ。

安全性を高めることが目的の端末で、政府や官公庁などでの採用が進んでいるとのことです。

パブリックスペースの画面。モノクロアイコンが目立ちますが、いずれも独自アプリ。アプリが個人情報を取得したり、広告のためにデータを送信することはありません。

ただ現実的には独自アプリだけではスマートフォンとして活用するのは困難です。そこでパブリックスペースでGoogle Playストアから自由にアプリを追加できます。そしてアプリごとに管理設定が行えるというわけです。

試しに1つのアプリのアイコンを長押ししてメニューを出します。 するとそのアプリに対して、個別にプライバシーと環境負荷を円形のダイヤルを使って設定できます。

現時点では「Data Privacy」が「1」になっています。これはアプリの標準仕様状態ですべてのリクエストを許可しています。 その下の「Carbon Reduction」は「3」で、こちらはバックグラウンドデータ送信などを制限しています。

Data Privacyでは「位置情報の利用」「カメラ・マイクの利用」「連絡先・カレンダーへのアクセス」「ストレージ・ファイルへのアクセス」「通知の許可・制限」を設定可能。またCarbon Reductionではアプリごとの「バッテリー消費」「データ通信量」の管理と制限ができます。 このようにData Privacyを「5」にすると、このアプリは位置情報もストレージへのアクセスも不可、通知もできません。

Android OSの標準機能でも通知はOFFにできますが、アプリごとの細かい設定はできません。MC02はアプリごとに個人情報へのアクセス権限を細かく調節できるわけです。

価格は599ドルで、1年間のApostrophyサービス利用が可能。2年目からは15スイスフラン(約2600円)が毎月かかります。一般的なコンシューマ向けではなく、データ漏洩が一切NGな職種向けの製品という位置付けです。例えば金融関係・セキュリティ関係にMC02の強力なセキュリティ機能は有用であり、ニッチ製品ながら確実に必要とするユーザーが存在します。