PC拡張バスの規格策定を行う団体PCI-SIGが、開催中の開発者カンファレンス「PCI-SIG Developers Conference 2022」で、次世代規格となるPCI Express 7.0の仕様策定を2025年に完了する予定だと発表しました。
PCI-SIGは、PCI Expressがこれまで3年周期で帯域幅を倍増してきているとしており、今回新たに発表されたPCI Express 7.0では、1レーンあたりの通信速度が最大32GB/秒に達します。これは、現在のPCで使用されているPCI Express 3.0では16レーン分の速度に相当します。つまり、NVIDIAのRTX 20シリーズや、GTX 16シリーズといったPCI Express 3.0 x16 バスを使用するグラフィックボードのデータ転送速度は、PCI Express 7.0ならたったの1レーンでまかなえる、ということになります。
PCI Expressは主に内蔵のストレージやGPUカードとの接続に使われます。グラフィックボードならほとんどは16レーンのバスを使用し、SSDストレージなら4レーンを使用しています。もし将来のこれらPCパーツが同じレーン数を使用しつづけるのなら、PCI Express 7.0に対応する将来のGPUや内蔵ストレージは、PCI Express 4.0を搭載するPCの8倍、PCI Express 3.0の16倍もの高速アクセスが理論上は可能になります。ちなみにPCI Express 7.0 x16の帯域は512GB/秒。ものすごくザックリいえば、片面3層のブルーレイディスク5枚分のデータを1秒足らずで転送できる速度ということです。
なお、PCI Express 7.0は帯域幅の増量のほかに、旧バージョンとの互換性を維持しつつ、電力効率の改善や800Gbit Ethernet対応、AI/ML(人工知能と機械学習)、クラウド、量子コンピューティング、ハイパースケールデータセンター、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、軍事/航空宇宙産業といったといったアプリケーションやデータ集約型市場をサポートしていくとのこと。
さて、この爆速なPCI Express 7.0のスピードをわれわれはいつごろ体験できるのか、という話。PC市場では、今年初頭からようやくPCI Express 5.0対応のCPUが登場し始めたばかりで、大半のPCはまだPCI Express 4.0 もしくは3.0を使用しているはずです。PCI Express 5.0の策定完了が2019年だったことを考えると、2025年に策定完了予定のPCI Express 7.0が一般のPC環境に採用されはじめるのは、2027~28年ごろのことになりそうです。もちろんそれより先に、PCI Express 5.0の普及があり、さらに6.0を採用する製品が市場に登場してくるので、われわれ一般ユーザーとしては特に細かいことは気にせず、新規購入、買い替えなど、そのときどきで満足できる性能のPCを選べば良いでしょう。
Source:PCI-SIG(Business Wire)
via:GSMArena