数年単位でうわさが続くApple製VR / AR / XRメガネの話題。Appleの社内情報漏らしが競技なら人類代表選手に選ばれそうな Mark Gurman @ Bloomberg が、いわゆる Appleグラス、メガネ型の拡張現実デバイスについて独自のソースから得たという未確認情報を伝えています。
本人のツイートによれば
「Appleが今後発表するヘッドセットはM2チップで動き16GB RAM(を搭載する)…」。
M2チップといえばつい先日のWWDC22で発表になり、最新の MacBook Air と MacBook Pro 13インチに採用されたばかりの新世代 Apple Silicon。M2 MacBook Air / Pro を最小構成から16GBにアップグレードすれば20万円クラスになります。
たとえばMetaの単体型VRヘッドセット Oculus Quest 2 (2020年発売)は、処理性能は当時の「上の中」スマートフォン程度の Snapdragon XR2プロセッサに6GB RAM。
かたや2年前に戦略的な普及価格で発売済みの製品、かたや2023年以降に高価格帯で発売見込みの未発表製品ではありますが、同じスタンドアロン型といえども、性能的には2年前のそこそこ良いスマホと、現在の最新MacBook Air / Pro メモリ増量モデル程度の大きな差があることになります。
Apple のARヘッドセットについて(これまでのおはなし)
Appleが何らかのメガネ型デバイスを開発していることは、少なくとも数年前からの内部情報や、公知の企業買収・特許取得・求人などから公然の秘密と考えられてきました。
つい先日には AppleのCEOティム・クックも、ARグラスについての質問に答える文脈で、AR技術はまだかなり初期段階にあること、今後 Appleが発表するものに乞うご期待と、聞きようによっては自社製デバイスの計画を認めたと解釈できなくもない発言をしています。
Apple グラスについてこれまでのうわさを並べれば、
iPhoneや「ベースステーション」と接続するセパレート式ではなく、ゴーグル状の本体にすべてを内蔵した単体型(スタンドアロン型)。
多数のカメラを内外に搭載。かけたままビデオパススルーで周囲が確認でき、デジタル情報を視界に重畳できる。
一説によればカメラ(およびそれに準ずるセンサ)は14基。目線や表情、体の動きも高精度にキャプチャできる。
内向きのカメラで撮影した目元をメガネ外側のディスプレイに表示して、外の人とアイコンタクトができ表情が伝えられる逆パススルー。(The Informationによれば、この機能は少なくともAppleの幹部向けにデモされている)。
デザイナーや3D系プロフェッショナルを想定した業務用製品よりも、日常的に掛けて使う製品を志向。
一方で、当初の価格は少なくともMac級
さらに軽量で普及を狙ったARグラスも開発中だが、発売するとして少なくとも数年後の見込み
といったところ。
時期については、早ければ2019年発表のロードマップ案もあったものの、スタンドアロン型に舵を切った時点で大きな技術的課題の数々から年単位で後ろ倒しになったと考えられており、最近ではイベントのたびに「ARヘッドセットも公開される可能性がある」「直前の幹部連向けプレゼンテーションでGOを得られなかったようだ」などと語られています。
今年のWWDCでもチラ見せすらされなかったため、現在の予測は早くて2022年秋または2023年前半に披露、同年または2024年に発売など。
Qualcomm ほかと協力してARグラスの規格策定に取り組んでいるナイアンティックのジョン・ハンケCEOも、テクノエッジ創刊インタビューでは「1、2年のあいだにも」最初のモデルが登場しそうだ、と述べていました(ナイアンティックが協力するのはビデオパススルー式ではなく、透過型ディスプレイのシースルー式)。
Niantic創業CEOジョン・ハンケ氏インタビュー:『現実世界のメタバース』とARの未来(前編) | TechnoEdge テクノエッジ
いつまで経っても「来年、または再来年には」が続くような気がするAR / MRメガネ端末ですが、こんどこそアップルからも他社からも「スマホの次」候補の発表が期待できそうです。
Apple (AAPL) Plans iPhone 14, Apple Watch Series 8, M2 Macs for 2022 and 2023 - Bloomberg