台湾のASUS(エイスース)が、高級ゲーミングスマートフォンROG Phoneの最新世代モデル『ROG Phone 6』『ROG Phone 6 Pro』をワールドワイド向けに発表しました。2機種とも、6.78インチ、2448×1080解像度、最高リフレッシュレート165Hzに対応する有機ELディスプレイを搭載したモデルです(上写真はProのほう)。
Proが上位モデルとして位置づけられていますが、画面サイズは無印も同じ。主な差は、背面に2インチの有機ELサブディスプレイを搭載する点や、RAMとストレージ容量などです。
価格はEU版が発表されており、無印ROG Phone 6のRAM 12GB+ストレージ256GB版が999ユーロ(約13万8000円)、16GB+512GB版が1149ユーロ(約16万円)。ROG Phone 6 Pro(18GB+512GB版のみ)が1299ユーロ(約18万円)。
現時点では日本向けモデルの発売などは未定ですが、従来モデルは日本でも発売されており、また人気機種でもあることから、発売は比較的有望と思われます。
特徴はこれまでのROG Phoneシリーズと同様、快適なゲームプレイと、テンションを上げるための外装デザインに(ともすればライバル機以上に)特化している点。
とくにデザインに関しては、Proは背面にイルミネーション兼情報表示用の有機ELサブディスプレイを搭載するなど、これまで以上に尖った(同ブランドのファンには嬉しい)仕上がりとなっています。
技術的な特徴も非常に多いのですが、中でも大きなポイントは、搭載するSoC(CPU)に、クアルコムの最高速モデル『Snapdragon 8+ Gen 1』を搭載する点。同SoCはライバル機が搭載するSnapdragon 8 Gen 1の高速改良版であり「実質Gen 1.5」とも呼べるバージョン。
クアルコム側の公称では、1世代前となるSnapdragon 888に比べてグラフィックス性能で最大50%の高速化、CPUで最大15%の高速化を実現。CPUコア部の電力対性能効率も、最大20%向上とされています。
RAMに関しても、上位のProは18GBと、これまでの上限である16GBをわずかながら(といっても2GB)超える容量に。メモリを大量に消費するゲームやカメラを平行して使っても、再ロードを抑えます。
もちろん速度の面でも、最新のLPDDR5タイプを採用。ストレージも現状最新のUFS3.1接続となっています。
またディスプレイは、有機ELながら最高165Hzと高速なサムスン製パネルを搭載。さらにタッチサンプリングレートは720Hzと、こちらもライバルを上回ります。
またASUSはタッチパネルの遅延時間も公表しており、165Hz表示時には23msまで抑えられるとのこと。
映像品質も優秀で、色域はDCI-P3比率で111%、色正確性はデルタE1未満。HDR映像ソースはHDR10+に対応します。
そして、昨今ゲーミングスマホで非常に重要な冷却機構に関しても、当然最新設計を投入します。
とくに地味ながら大きなポイントが、バッテリーを(充電の高速化もあって)2セルに分割したことで、SoCを本体中央に搭載している点(Centered SoC)。このレイアウトにより、背面側に均等に熱を分散でき、限られた面積を効率良く放熱に使えます。
さらに、SoCに近接する熱伝導素材には、窒化ホウ素系材料を採用。大面積のベイパーチャンバーやグラファイトシートといった熱伝導素材との組み合わせで、効率良く熱を拡散します。
合わせて注目できる点としては、防滴性能がIPX4相当と、ゲーミングスマートフォンとしては高めな点。
これは「あらゆる方向からの水の飛まつを受けても有害な影響を受けない」というレベルで、昨今主流の(iPhone 13系などが満たす)IPX7からは緩いもの。
ただし、防滴性能を上げるには本体の密閉度を高くしなければならず、とくにゲーミングスマホにおいては、工夫を凝らさなければ放熱の面で大きく不利になります。
そうした中で実現するのは、白眉とも呼べるところでしょう。
さらにシリーズおなじみ合体式の冷却ファンも、『Aeroactive Cooler 6』として用意(オプション)。ペルチェ素子(強制的熱交換を行える板状のデバイス)を搭載し、公称で「最大25度の背面カバー温度低下」という、確かな性能を発揮します。
さらに背面側の物理ボタンも4基搭載しており、ゲームプレイの快適さを増す機能も備えます。
なお、先述したCentered SoCは、ここでも効果を発揮。ファンの効果が最も発揮される位置にSoCが置かれるレイアウトとなっています。
横長状態での左右天面には、従来モデルから引き継ぐ超音波式トリガーを2箇所に搭載。ボタンとして使えるだけでなく、左右スワイプなどにも対応し、様々な操作が可能に。一部ゲームタイトルなどでは、「押している間だけ本体ジャイロを使った操作が可能になる」といった、便利な操作も使えます。
もう一つ特筆すべきは、バッテリーが6000mAhと大容量な点。高級スマホのバッテリー容量は、一時期こそ増加傾向にあったものの、昨今では高級モデルでも5000mAhが一つの壁となっており、それを超えるモデルはまれ。またここ1年ほどは、高速充電に力を入れたため、同じシリーズで比較すると減少したモデルもあるほどです。そうした中での6000mAhは、貴重な大容量と呼べるでしょう。
そして充電速度に関しても、USB PD準拠での65Wに対応。3000mAh×2セル構成により並列充電を行なうことで、65Wの電力を効率良くバッテリーに供給します。公称充電時間は、0から60%時で19.4分、100%まででも42分とされます。
なお、昨今省略されがちなACアダプタ(充電器)も、本体に付属。もちろん、性能をフルに発揮できる最大65W仕様です。
一方で、こうした仕様に比べると控えめなのがカメラ。背面は3眼構成ですが、メインの5000万画素+超広角1300万画素+マクロ500万画素という陣列。望遠カメラモジュールは搭載しません。
なお、メインのイメージセンサーには、1.56分の1インチ(約0.64インチ)サイズのソニー製『IMX766』を搭載します。
そしてROG Phoneシリーズのこだわりポイントである、画面側カメラのベゼルマウント(パンチホールではない)は、今回も継承。画面占有率などはもちろん不利になりますが、ゲーム中に邪魔になることを避けたゆえの仕様です。
さて、Proのみの大きな特徴とも呼べるのが、背面の2インチ有機ELサブディスプレイ。これは画面オンやXモード(性能最優先モード)動作、充電中表示など、6つの状況に対して60種類以上のアニメーション表示ができるというもの。背面側の尖鋭的なデザインと合わせて、気分を盛り上げてくれます。
無印のROG Phone 6も、背面にLEDライトを搭載。こちらはフルカラーRGB表示で気分を盛り上げます。
なお通信面では、5G+5GのデュアルSIMをサポートする点も特徴(両方ともナノSIM)。昨今通信事故の対策としても急速に注目を浴びるデュアルSIMだけに、双方とも5G対応している点は嬉しいところでしょう。
本体サイズはなぜか現時点では未公表。本体重量は無印、Proともに239gと重量級です。OSはAndroid 12を搭載します。
このようにROG Phone 6の2モデルは、従来シリーズのコンセプトである「ゲーム最優先」を引き継ぎ、SoCの世代交代による高速化やそれを支える冷却能力の向上など、正統派のアプローチで性能を充実させたモデル。
ROG Phoneは自作PCで人気のROGブランドを引き継いだこともあり、ゲーミングスマホの立役者とも呼べるシリーズですが、今世代も力の入った冷却機構や本体デザインなど、これまでの人気を継承できる要素を十二分に持ったモデルと呼べそう。願わくば、日本でのいち早い発売と、また妥当感のある価格を期待したいところです。
●Source:ROG Phone 6イベントページ