PC用メモリや周辺機器で知られる老舗メーカーであるアドテックが、最大140W(USB PD EPR仕様)に対応したUSB ACアダプタ『APD-V140AC2』を発売しました。
本体カラーはホワイトとブラックの2種。既にAmazonとYahoo!の直販にて販売開始されており、執筆時点での製品到着予定日はYahoo!が7月16日、Amazonが7月20日。
価格は本体のみで9990円(税込)、240W給電対応のC to Cケーブル付属セットが1万1990円(同)です。
¥9,990
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
「最大140WのUSB ACアダプタ」と聞くと、事情に詳しい方はMacBook Pro 16インチ(2021)付属のアダプタを連想するでしょうが、本機はしっかりとMBP16インチ(2021)への対応を表明。本機をUSB-C-MagSafe 3ケーブルで接続することにより、MBP 16をフルスピードで充電できます。
筆者が調べた限り、日本で販売される製品の中では初めて、同アダプタの代替となりうるモデル、というわけです(クラウドファンディングされていた製品もありますが、発売は本機が早いはず)。ここが第1の、また人によっては最大の特徴となります。
そして2つ目の大きな特徴は、出力端子がUSB Type-C×2基+USB Standard-A×1基の「2C1A」タイプであること。アップル製140Wは単一端子なので、モバイル時などでの使い勝手は本機が大きく有利となります。
マルチポートタイプのUSB ACアダプタにおいて、実際の使い勝手で大きな注目ポイントとなる複数ポート使用時の出力制限ですが、本機はこのあたり非常に個性的。ここが第3の特徴です。
白眉となるのが、3ポート同時使用時が100+12+12Wというパターンとなる点。100W級マルチポートタイプでは、たとえば65+45+18W的な「PC/Mac2台とスマホ」「PC/Macとタブレット、スマホ」といった振り分けパターンが多いのですが、本機はPCやMacを優先すべく、この状態でも1台に対しては100Wを供給できます。
このポリシーは2ポート同時使用時でも同様で、USB-C×2時では100+30W、USB-CとUSB-Aでは100+12Wというパターンとなります。
それぞれのポートごとに詳しく見ていきましょう。
140W出力(28V/5.0A)に対応するのが、天側の『C1』ポート。正面にはマーキングと印刷による強調がなされているため、比較的わかりやすい仕上げです。対応スマホなどで急速、かつ無駄な電力消費を防ぐ出力仕様『PPS』にも、3.3-21V/5.0Aという幅で対応します。
他ポートと併用した際は、上述のように最大100Wまでに制限されます(3ポートではなく、2ポート同時でも同様に100W制限です)。
中央に配置された『C2』ポートは、最大100W出力とPPSに対応。C1ポートとの併用時は最大30Wに、3ポート同時使用時は12Wとなります。
最後の『A』ポートは、最大18W(単独時と、C1ポート同時使用時)。18Wという点からピンとくる方もおられるでしょうが、クアルコムのQuick Charge 3.0に対応。C2ポートと同時仕様時は、最大12W(5V/2.4A)に制限を受けます。
そして4つ目の特徴は、マルチポートタイプでありながら、アップル製140Wよりも小型な点。
本機のサイズは80×80×28mm(幅×高さ×厚さ)で、重量は約263g。アップル製140Wの本体サイズは、実測で75x96x28.6mm(幅×高さ×厚さ)、重量は約277gなので、体積比率では本機は約14%ほど小型に、重量もわずかながら本機が5%ほど軽い計算。これで3ポートになるのですから、製品としての訴求力が高いことは間違いありません。
もちろんACプラグも折りたたみ式で、パワー半導体にはGaNこと窒化ガリウム素材を採用。小型化のみならず、発熱の低減にも寄与しています。
このように本機APD-V140AC2は、ただでさえ現時点では貴重な140W/EPR対応というだけでなく、2C1Aの便利なポート構成、そして複数ポート使用時でも1基に100Wが供給できるという、非常に珍しい特徴を備えたモデル。
さすがに価格的には高価ですが、ケーブルとセットになったモデルはお買い得度が高くなります(240W対応となるとまだケーブルも高価ですし、また本機側の性能を活かすためには必須に近いオプション。約2000円差で入手できるのはお得感があります)。
とくに「屋外で使用する際にも、スマホなどよりPCやMacの急速充電を優先したい」というユーザーには「複数同時使用時でも、1台には最大100W出せる」という特徴は非常に頼もしく、刺さる仕様と呼べるでしょう。
アドテックはPC用メモリの老舗で、昨今は企業向けに力を入れていたことから、正直なところACアダプタのイメージは薄い企業でもありますが、本機は間違いなくそうした印象を覆すインパクトを備えた製品と呼べる存在となるはずです。
●Source:アドテック 製品ページ