スマートフォンやタブレット、最近ではMacも快進撃を続けるアップルですが、どうにもスマートホーム市場は上手く行っていないことが知られています。
セットトップボックスApple TVも好調とはいえず、HomePod miniはそこそこ順調とはいえ他社のスマートスピーカーには及ばず、「リビングの真ん中でホーム機器を制御」という目標とは程遠い状況が長らく続いてきました。
そんななか、同社がスマートホーム市場への重要な一手として、iPadと合体してスマートスピーカー化するスピーカーハブ(充電ドック)を開発中との噂が報じられています。
アップルの最有力リーカーと名高いBloombergのMark Gurman記者は、ニュースレター「Power On」最新号(概要はこちら)で、先日Googleが予告したタブレット「Pixel Tablet」に言及。その追加情報だった「ドッキングしてスマートディスプレイにする」アクセサリーに触れ、アップルも同じようなことに取り組んでいると述べた次第です。
同社がiPadとスピーカーを組み合わせたスマートホーム製品を開発中であることは、Gurman氏の数年ごしの持論です。今年8月にもiPadとスピーカーをロボットアームで繋いだキッチン向けのデバイスという未来感あふれる(ないしiMac G4への先祖返り?)製品像を開陳していました。
さて最新のニュースレターでは、アップルはまだiPadとスピーカーハブを組み合わせた(2つで1つの製品)アイディアを模索しつつも、それとは違うiPad用の別売りドッキングアクセサリーに取り組んでいるとも付け加えられています。
どちらも方向性はほとんど同じで、「キッチンカウンターやリビングルーム、ナイトスタンドに置けるようなもの」つまり自宅の一箇所にしか置けないものではなく、どこにでも持っていって使える製品を目指しているそうです。要はPixel Tabletと同じような仕組みです。
すでにアップルはApple TVやHomePodを送り出しているものの、アマゾンのEcho製品やGoogleのNestシリーズほどの地歩は築けていません(スマスピ市場は中国勢が猛追しているとのデータもありますが)。
かといって、ゼロから新製品を創り出すには時間がかかる。そこで12年かけて普及したiPadをスマートホームの分野で威力を発揮させる上で、外付けドックは最善手かもしれない、というわけです。
ほかニュースレターでは大型のHomePodリニューアル版や、Apple TVとスマートスピーカー一体型デバイスにも触れられていますが、それらは以前の予想の繰り返しであり、特に目新しさはありません。
今回の報道では、別売りドッキングアクセサリーが今後の新型iPad専用なのか、それとも過去のモデルでも使えるのか不明です。が、もしも後者であれば「対応するiPad過去モデルの台数」が直ちに潜在的なアップル製スマートスピーカー市場にもなりかねず、Pixel Tabletにとって大きな脅威となるはず。
もっとも米9to5Googleは、アップルやiPadとの競争こそがPixel Tabletの進化を後押しする可能性があるとコメントしています。
要はアマゾンがFire HD 10 Plus+ワイヤレス充電スタンド(組み合わせるとEcho Showのように利用できる)等でやっていることを後追いするだけの感もありますが、それをiPadの規模で実現すれば、スマートディスプレイ市場に激震が走るのかもしれません。