うわさ:アップルのAR/VRヘッドセットはほぼ完成、「アップルバース」的な複合現実環境の開発者募集

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Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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アップルが独自のAR / VRヘッドセットを開発していることは公然の秘密であり、最新の「内部情報」では2023年1月にもメディアイベントを開催して発表、あるいは2023年3月に量産開始のスケジュールまで囁かれています

「早ければ来年にも」を何年も繰り返してきましたが、量産についての情報は新しく、情報規制が効きにくいサプライチェーンが動き始めている可能性を示しています。

そんな噂話が相次ぐなか、同社がデバイスだけでなく「アップル版メタバース」的なものに取り組みを始めていたり、ヘッドセット開発チームの陣容を強化しているとの観測が出てきました

まずデバイス自体については、最新のMac用チップ(M2)並みのプロセッサー搭載、デバイスの内側と外側に合計10個以上のカメラ、消費者向けヘッドセットの中では最高解像度のディスプレイを搭載する見込み。

リッチなハイエンド仕様となるため、Quest Pro よりもはるかに高価な2000~3000ドルの製品になるとの見通しは、アップル内部情報の第一人者として名高いGurman氏が1年ほど前から主張し続けてきたことです。

新規の情報としては、まずヘッドセット専用OSの最初のバージョン(コード名「Oak」)の開発は社内では終了しているとのこと。

そのため来年の新ハードウェアに対応できるはずとされ、少なくともシステムソフトウェア面での遅滞はないようです。

このOSは「realityOS」と呼ばれ、メッセージやFaceTime、マップなど純正アプリのMR(複合現実)バージョンも揃っているとされています。

「realityOS」といえば数ヶ月前、アップルがダミー会社を通じて取得していた商標の1つにあったことが思い出されます。

また以前Gurman氏は、初代ヘッドセットがゲームおよびメディア消費に重きを置いており、VR化したFaceTimeは「新時代のZoomになることを期待したい」と述べていました

専用OSもハードウェアの量産も準備が整いつつあるとすれば、次に必須となるのがソフトウェアの充実でしょう。これはアップルがヘッドセットやAR/VR技術の開発チーム「Technology Development Group」(TDG)について出している求人情報から、かなりの手がかりが得られます。

まず1つには、AR/VR用コンテンツ制作の強化です。視覚効果やゲームアセットパイプライン(システム外で作られたコンテンツを、ゲームのシステム内で利用可能にするための流れ)の経験を持ち、AR/VR環境用のデジタルコンテンツを作れるソフトウェアプロデューサーが募集されているとのこと。

これは半年近く前にThe New York Timesが報じていた「ヘッドセット用コンテンツの開発にジョン・ファブロー氏などのハリウッド大物監督を起用」との記事とも符合します。

『アイアンマン』や『マンダロリアン』で知られるファブロー氏は、Apple TV+で配信中の『太古の地球から よみがえる恐竜たち』ではエクゼクティブ・プロデューサーを担当しています。

数々のApple TV+番組が実はヘッドセット用コンテンツの準備を兼ねており、ハードウェア製品発表と同時にVR対応版が一斉公開されることもあり得るのかもしれません。

また求人情報では、サードパーティ製アプリを呼び込みたいことも強調されているそうです。現在のiPhoneyやiPadの反映がApp Storeにある無数のアプリ(およびアプリ内購入の手数料)に支えられていることを考えると、「ヘッドセット用アプリが自社製のみ」は極力避けたいと思われます。

そうしたコンテンツ関連で最も注目すべきは、「3DのMR(複合現実)世界でつながる体験を可能にするツールやフレームワーク」を作り上げる技術者を募集していることでしょう。Gurman氏は、これをメタバースに似た仮想環境を言ってるようだと指摘しています。

しかし、つい先月に同社のワールドワイドマーケティング担当上級副社長グレッグ・ジョスウィアック氏は「メタバース」に対して「私が絶対に使わない言葉だ」とコメントしたばかり

さらにアップル社内ではメタバースは「ユーザーが逃避できる完全な仮想世界」として概念そのものが禁止されているとの報道もありました

とはいえ、アップルは競合他社が先んじていることを、あたかも自社が発明した概念のように紹介した例は珍しくありません(常時表示ディスプレイ等)。

複合現実でアップル公式のレイヤーを作り、サードパーティーのコンテンツを含めてユーザーが体験することになるとして、それを本当にアップルバースと呼んでしまうのか、iバースなどおなじみのネーミングを踏襲するのかは興味深いところです。

ほかGurman氏のニュースレターでは、かつて自動運転EV開発プロジェクト「Project Titan」に所属していた人材を再雇用(一時退職し、健康関連スタートアップCEOを務めた人物)したり、iWorkアプリ(Pages、Keynote、Numbers)開発のキーマンを加えたりと、ヘッドセットを健康や生産性に活用することに力を入れる気配があると述べています。

今回のGurman氏以外にも、アップル内部やサプライチェーンにソースを持つリーカーやアナリストの情報を総合すると、初代アップル製ヘッドセットの価格は最低でも2000ドル超え、かつ年間出荷台数は70~80万台に過ぎず、当初は企業向けの商用市場をターゲットにするとの予想が固まりつつあります。

今後の大まかなタイムスケジュールは有名アナリストMing-Chi Kuo氏がつぶやいていましたが、Gurman氏もそちらに異論は唱えていません。

おそらく来年の早い時期に発表、WWDC(つまり6月頃)前後には店頭に並び、まず開発者やAR/VR方面のインフルエンサー界隈に浸透させる見込み。

本格的な普及は、廉価版も追加されると噂の第2世代以降となりそうです。

《Kiyoshi Tane》
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Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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