国際的な合意で計画されているSquare Kilometre Array (SKA)の建設が、オーストラリアで始まりました。
SKA計画は、200基のパラボラアンテナ、13万1072基のアパーチャアンテナを配置して、1平方kmの就航面積を持つ世界最大の電波望遠鏡(電波干渉計)を建設する試み。
オーストラリアと南アフリカに建設が予定されており、オーストラリアの設備は低周波アパーチャアンテナアレイを設置し、50~350MHzという低い周波数での観測を行うためSKA-Lowとも呼ばれます。
一方、南アフリカの計画はオーストラリアよりも上となる0.35~15GHzの中周波数帯を観測するため、SKA-Midと呼称されます。
今回建設が始まったオーストラリアの設備は西オーストラリア州に設置され、すでに先行研究用の設備がオーストラリア連邦科学産業研究機構の協力によって稼働しています。
SKA計画の始動は1991年にさかのぼり、最も初期の宇宙から、「宇宙の夜明け」とも呼ばれる再電離期に起こったとされる、最初の星の形成に関する何らかの情報を得ることがその目的のひとつに挙げられます。
他にも、宇宙のダークエネルギーやそれによって加速する宇宙の膨張に関する観測・研究に役立てられることが期待されています。
SKA-Lowの能力はこれまでの電波望遠鏡に比べても非常に高くなります。計画のディレクターであるサラ・ピアース博士は、たとえば「数十光年先にある惑星の空港レーダーを観測できる」ほどの性能があると説明し、この新しい電波望遠鏡が電波天文学の「次の50年」を形作ると述べました。
なお、大きく複雑な設備となるためSKA-Lowの完成は2028年になる予定で、そこから本格的な稼働にはさらに時間を要することが予想されています。
ちなみにBBCによると、現在のプロジェクト参加国は南アフリカ、オーストラリア、英国、中国、イタリア、オランダ、ポルトガル、スイスの8か国ですが、フランス、スペイン、ドイツがこれに加わる予定であり、さらに日本を含む数か国が、将来的に参加の意向を示しています。