iPhone 14シリーズには標準モデル・Proモデルともに「衛星経由の緊急SOS」機能と「衝突事故の検出機能」が備わっており、ユーザーをいざという時の危機から助け出す命綱を提供しています。
この2つが連携して動作し、150m以上の深さの渓谷に転落した自動車の乗客らが救い出されました。
現地のモントローズ捜索救助隊によれば、事故が起こったのは米カリフォルニア州にあるエンジェルス国有林のエンジェルス・フォレスト・ハイウェイでのこと。2人の乗客が乗った車が道路から外れて谷に滑落し、約300フィート(約153m)の深さに落ち込んでしまいました。そこは携帯電話の電波が届かない領域であり、普通であれば助けの呼びようがありません。
しかし、乗客の1人が持っていたiPhone 14が衝突を検知。これまでのiPhoneならば電波やWi-Fiの届かない場所では緊急通報を発信しようがありませんでしたが、iPhone 14は衛星通信機能があるため、テキストメッセージで中継センターに連絡できたそうです。
さらに中継センターがiPhone 14から知らされた正確な緯度や経度データを転送し、捜索救助隊やパトロール隊が出動。エアレスキュー部隊が遭難者を渓谷から引き上げ、地元の病院に搬送できました。遭難者は20代の男性と女性で、軽症ないし中程度の怪我を負っていたとのことです。
その救出の様子がTwitterでシェアされていますが、ヘリコプターも出動する大々的な作戦だったことがうかがえます。
アップル公式には衛星経由の緊急SOSを、まず「衛星経由の緊急テキスト」をタップして「緊急通報の報告」を選び、画面の案内に従って接続し……とすべて手動で行うように説明しています。そのため、すべて自動で機能する衝突事故検出とイメージが繋がらなかった人もいるかもしれません。
しかし米CNETの取材に対してアップル広報は、「救急隊からは、ユーザーのiPhoneが事故を検出したと聞いています」「携帯電話サービスがない状態で(iPhoneは)衛星接続で遭難者を中継センターに繋げた」と語っています。
たしかに、事故検出の公式サポートページにも「携帯電話やWi-Fiの電波が届かない場所にいても、衛星経由の緊急 SOS システムを利用して、緊急通報サービスに衝突事故検出の通知を送信できる可能性があります」と小さく書かれています。
「iPhone 14が検出できるほどの衝撃で自動車事故に遭う」ことと「人里離れた、携帯の電波が届かない場所で渓谷に転落する」条件を満たす事態はめったになく、そんな事故に遭ったときに生きている可能性も高くはないはず。しかし、今回の事故が最悪の結果に終わらず、iPhone 14の有用性も証明できたことは、遭難者にとってもアップルにとっても幸いだったと言えそうです。