「終末時計」が、23時58分30秒をお知らせします…。「人類の終末」まで残り90秒となりました。
世界終末時計は、米原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists:BAS)が1947年以降定期的に発表している、人類滅亡までの残り時間を象徴的に指し示す時計のこと。現在はノーベル賞受賞者を含む13人の科学者によって決定されており、2020~2022年の間は、新型コロナのパンデミックが大きな影響を及ぼし「残り100秒」という過去最も危機的な状態を指し続けていました。しかし今回の発表ではさらに10秒が削り取られ、世界情勢が過去最悪の状況になったことを表しています。
今回、時計が10秒進んだ理由については、やはりロシアによるウクライナへの軍事侵攻と、それにともなう核使用への緊張の高まりが主たる要因として挙げられています。またその他の問題として気候変動の悪化やフェイクニュースの拡散、そして新型コロナの問題も、引き続き世界情勢に影を落としていることが述べられています。
科学者らは「核兵器を使うというロシアの脅迫は、意図的または偶発的、もしくは判断ミスによる紛争の拡大が恐ろしいリスクだということを世界に思い起こさせる」と述べています。またBASは「戦争の影響は核の危険性の増大だけにとどまらず、気候変動と戦うための世界的な努力も損なう」とも述べています。特に、ロシアからの石油や天然ガスに依存する国々は、ロシアにかわるエネルギー供給元を探す必要性に迫られています。
ちなみに、終末時計が過去もっとも0時から遠ざかったのは冷戦が終結した1991年のことで、残り17分を指していました。BASのCEO、Rachel Bronson氏は、今回の終末時計の更新について「現在の状況は人類が作り出したものだが、われわれはまた、人類が包括的に関わっていくことで、これらのリスクを軽減できると考えている」と述べています。