Amazon共同創業者ジェフ・ベゾスの航空宇宙企業Blue Originが、月面のレゴリス(砂礫)から太陽電池や電線の材料を抽出する「Blue Alchemist」技術を発表しました。
この技術では、月レゴリスに豊富に含まれるアルミニウム、鉄、マグネシウム、シリコンといった元素を、溶融塩電解法を用いて抽出し、太陽電池やその他必要なものに利用する素材として取り出します。
溶融塩電解は、固体物質(この場合はレゴリス)の温度を非常に高くして融解、液体とし、これを電気分解することで目的の材質を抽出しますが、水溶液電気分解と異なり、大量の水を必要とせず、反応の際にCO2やなんらかの化学物質を排出することもありません。
また反応の際にこれらの元素と結合している酸素が分離されるため、これを貯蔵しておけば生命維持および燃料として使うことが可能になります。
実際に月で採取したレゴリスを使ったわけではなく、化学的・鉱物学的に同等の模擬物質による実証ですが、月面の現地の材料から素材を作り出すことが可能なため、Blue Originは持続可能な方法で人類を再び月に到達させることを目標とするアルテミス計画向けにこの技術を売り込みたい考えです。
現地でこのような素材が生産可能になれば、将来の月への物資輸送の負担を軽減することが可能になります。またこの方法によって作り出した太陽電池は、月の過酷な環境下であっても10年以上は稼働できるとBlue Originは主張しています。
Blue Origin は最近、「高度開発プログラム」ビジネス ユニットを 2 つのユニットに分割しています。ひとつは「Orbital Reef」宇宙ステーションなどの宇宙システムに関する部門。もうひとつは月面での活動にフォーカスしたユニットで、Blue Alchemistののような技術開発のための採用を活発化しているとのことです。
これまでレゴリスの活用と言えば、それを3Dプリントして基地の構造を作るといったアイデアが多く、基地での電力供給源に関するものはあまり見かけることがありませんでした。「Blue Alchemist」技術は、月面での活動をさらにしやすくする技術になるはずです。