紙ストローの不満を解消する「バイオプラスチックストロー」、製紙の副産物リグニンから生成

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Munenori Taniguchi

Munenori Taniguchi

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使い捨てのプラスチック製ストローは、海洋ゴミ問題などから「環境に優しくない」との主張があり、日本では2022年に施行された「プラスチック新法」によってコンビニやファストフード店などで紙製のストローに置き換えが進みつつあります。

しかし、一般的な紙ストローは液体に挿し入れるとだんだんふやけてしまううえ、ものによっては糊の成分なのか、口元がヌルヌルしたり、ベタついたりするなど、使い心地の面でプラスチックに劣ると言わざるをえません。

韓国・仁荷大学の研究者は、紙ストローにおける制約を解消する新たな代替品が作れないかと考え、樹木を形作る組織に多量に含まれる有機ポリマー(高分子)の一種である「リグニン」に注目、これをベースとしたバイオプラスチック製ストローを開発しました。

リグニンは木材の細胞壁に多量に含まれる高分子材料で、紙パルプ製造プラントでは、原料の木材チップをアルカリで溶解してリグニンを除去し、残ったセルロース繊維を使って紙にします。一方、除去されたリグニンは、他に使い道がなければプラント内のボイラー設備の燃料として消費されるのが一般的です。

しかし近年は、このリグニンにポリエチレングリコール(PEG)を混ぜるなどして改質し、プラスチック代替品として活用する研究が行われています。今回の研究もそのうちのひとつで、研究チームは、リグニンにジャガイモのデンプンや植物由来のポリビニルアルコール(PVA)を混合、さらにクエン酸を加えることで、粘性の高い性質を持たせ、これをフィルム状に薄くのばして円筒状に加工、乾燥したものを180℃で熱処理することで、バイオプラスチック製ストローを作りあげました。

研究チームによると、このリグニンベースのバイオプラスチックストローは、水に浸けても表面がベタつくことはないものの、屋外環境で2か月間放置した時には、著しく生分解が進行するのが確認されているとのこと。

他の多くのプラスチック代替品は、製造に余計な行程が必要だったり、エネルギー消費が嵩んだりと、結局環境や温暖化に対して優しいものになりにくいという難点がありました。一方、リグニンをベースにプラスチックを作る場合、そのリグニンそのものが他の産業の副産物として生産され、ほとんどが燃やされるか廃棄されるしかない代物であるため、安価に入手できる利点があります。

さらに、ストローに加工する前のバイオプラスチックフフィルムには、紫外線カットの効果もあることから、窓ガラスに貼り付けてUVカットフィルムとして使える可能性もあるとしています。

なお、ストローとして置き換えができるのであれば、他にもたとえば紙コップや紙皿などの紙製食器の代替にも使えそうです。もちろん生分解性があるからといってキャンプ場などで使い、放置してその場を去るのはもってのほかですが、仮にそうなったとしても、自然に還りやすければ環境への負荷も低くすむことでしょう。

Ultrastrong, Hydrostable, and Degradable Straws Derived from Microplastic-Free Thermoset Films for Sustainable Development


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《Munenori Taniguchi》
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