4年ぶり開催のはずだったE3 2023、正式に中止「関心を集められなかった」

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Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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世界最大のゲームイベントE3 2023が4年ぶりにリアルイベントを予定しながらも、任天堂・ソニー・マイクロソフトに続きセガとテンセントも不参加を表明し、中止が懸念されていたことは昨日もお伝えしました。


その懸念が現実のものとなり、主催団体ESAと大手イベント運営会社ReedPopがともにE3 2023の中止を正式に表明しました。

ESAとReedPopはTwitterにて共同声明を出しており、E3 2023はデジタル(ストリーミング配信)と物理イベントともにキャンセルしたと述べています。

このアナウンスに先立ち、米IGNはESAが会員向けに配信したメールで中止を発表したと報道。

そこでは「愛されるイベントとブランドであることに変わりはない」としつつ、今年は「我々の業界の規模、力、影響を示せる形で実施するために必要な持続的な関心を集められなかっただけ」と分析されています。

このIGN報道を受けて、ESAはReedPop社からの公式声明を発表。「業界にとって正しいこと、E3にとって正しいことをする必要がありました。我々は業界とE3のために、この決断(開催中止)をしなければならなかったのです」と苦渋のほどが語られています。

ここまでは漠然とした残念表明にすぎませんが、ESAの社長兼CEOのStanley Pierre-Louis氏はGameIndustryの取材に応じて、もう少し事情を詳しく説明しています。

主な要因とされるのは、3つ。まず第1に、新型コロナが大流行して以降、ゲーム開発のスケジュールが変更されたとの報告が数社からあったこと。第2に、経済的な逆風により、いくつかの企業が大規模なマーケティングイベントへの投資方法を見直すようになったこと。そして3つ目は、対面式イベントとデジタルマーケティング機会の適切なバランスにつき、企業が試行錯誤を始めていることです。

要するに新型コロナ禍によりE3の連続開催が途切れて、初夏のE3に備えて体験デモを用意する習慣がなくなってしまったこと、物理イベントがなくなり各社とも予算と担当チームごと削ったこと、バーチャルイベントの効果が予想以上で対面式イベントに参加する意義が見いだしにくくなったという、ゲーム業界内で渦巻く声ともほぼ一致しているようです。

また今後、いつかまたE3を開催するかどうかについて、ESA会長は明言を避けています。「マーケティングと協議のための業界プラットフォームを提供すること」を約束しつつ「業界のニーズを満たす適切なバランスを見つけることを確認したい」とのこと。

またイベントやプログラムを企画する際には「メンバーの優先順位を考慮するようにしている」と述べており、遠回しにゲーム関連企業から強い要望がない限りは開催を見合わせると示唆している模様です。

そうした大手ゲームパブリッシャーを見渡せば、任天堂は「Nintendo Direct」ソニーは「State of Play」、マイクロソフトは「Xbox Games Showcase」という独自のストリーミング番組を配信しており、他社の発表に埋没しかねない物理イベントに戻ってくる理由は乏しい感があります。


とはいえ、新型コロナの脅威も薄れて旅行やライブなどの人気が盛り返していることもあり、ゲーム業界でもデジタルイベントに人々が飽きてくれば、またE3復活の可能性が出てくるのかもしれません。

《Kiyoshi Tane》
Kiyoshi Tane

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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