Twitterが、従来の認証済みユーザープログラムを廃止し、4月1日から従来の青い認証マークの削除を始めました。もし認証マークを維持したい場合は認証バッジの販売窓口も兼ねるようになった新しいTwitter Blueへの加入を促しています。
この認証マークには階層が設けられており、従来と同じ青い認証マークはTwitter Blueに加入する個人ユーザーに、金のマークは企業アカウントに、そしてグレーのマークは政府機関や公的組織に対して付与される決まりになっています。
またTwitterは、個人ユーザーならTwitter Blueの月額費用8ドル(アプリ経由では11ドル)に青い認証マークの権利を含めて提供するものの、企業アカウントに対しては、金色の認証マークを維持するために毎月1000ドルの支払いを求めています。1000ドルは記事執筆時点のレートで言えば13万3555円にもなり、そこそこの大金です。
そのためか、いくつかの企業は、毎月1000ドルもの金額をチェックマークのために支払う意思がないことを明らかにしました。New York Timesも認証マークに支払うつもりはないとの考えを表明し、ジャーナリストのTwitterアカウントに関しても認証マークのための支払いはしないと述べていました。
ところが、それを知ったTwitter CEOのイーロン・マスク氏は、NYTの発言が気に入らなかったのか、突然「New York Timesが本当に残念なのは、彼らが発するプロパガンダがつまらないことだ」「そして彼らがたれ流すフィードはTwitterの下痢のようなもので、とても読めたものではない」などと、自らが所有するプラットフォーム上であからさまな侮辱ツイートを連投。そして、ほどなくしてTwitterは約5500万人のフォロワーを持つNYTのアカウントから認証マークを削除しました。
認証マークのためにお金を払わないことを決めていたNYTなので、別にそれを実際に削除されたところで痛くも痒くもないことでしょう。ただ、New York TimesはTwitterの内部文書からの引用としてTwitterが認証マークの剥奪には特例が設けてあり、フォロワー数が多い上位1万までの組織には、支払いの規則が免除されると報告しています。実際、記事執筆時点でもNYTと同様に月額1000ドルの支払いには応じない考えを表明している報道機関にはCNN、Los Angels Times、Washington Postなどがありますが、それらの企業からはまだ認証マークは削除されていません。
NYTについても、New York Times Arts、New York Times Travelといったサブチャンネルのアカウントについては認証マークはいまも付与されたままです。このようなTwitterのムラのある対応について、Washington Postは元従業員の意見として、どうやら削除作業の大部分が人力で行われているらしく、人員削減で人手が不足しているうえに、あまりに数が膨大なため、作業がほとんど進んでいない可能性を指摘しています。
ちなみに、企業アカウントではないものの、青い認証マークのために支払いをしないと表明したNBAスターのレブロン・ジェームズやラッパーのICE-Tのアカウントにも、まだ青い認証マークが表示されています。
また、ホワイトハウスは、政府や公的機関のTwitterアカウントに与えられるグレーのマークについては、大統領や副大統領のような一部のホワイトハウス高官なら引き続き灰色のチェックマークで確認される可能性が高いものの、新しい認証の資格基準に含まれない組織も出てくる可能性があるとしています。ただし、そのような場合も組織として認証されるために費用を負担することはないとしました。もちろん、政府機関の職員が個人でTwitter Blueに加入して認証マークを得る場合も費用を立て替えない方針だそうです。