中国版火星ヘリコプター、2030年ごろ予定のサンプルリターンで投入の可能性

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Munenori Taniguchi

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中国国家航天局(CNSA)は、4月22日に中国国内で開催された国際深宇宙科学会議で、天問3号(Tianwen-3)ミッションについて説明し、2030年ごろに約500gの火星サンプルリターンを実施する計画であることを明らかにしました

このミッションの目的には、火星の環境と気候変化、そして過去もしくは現時点での生命の存在可能性や証拠を探すことが含まれています。そのため、長征5号ロケット2機を用意し、片方には火星着陸機と離陸機、もう片方には軌道を周回するオービターおよび地球にサンプルを持ち帰る帰還モジュールを搭載する予定です。

中国は2021年5月に火星に天問1号を着陸させ、搭載していた火星探査ローバー「祝融号(Zhurong)」によってその赤い大地の上での巡回や探査を実施することに成功しています。今回発表されたミッションでは、火星軌道への進入や地上への降下および着陸に、祝融号の着陸で得られたデータや知見を投入。

火星におけるサンプル採取作業には、2020年に中国が実施した嫦娥5号による月面サンプルリターンと同様に、着陸船に装備されるロボットアームを使っての表面サンプルの取得、さらにドリルで地下2mまで掘り下げての地中サンプルの取得を計画。さらに新しい要素として、6脚ロボットもしくはNASAのIngenuityに似たヘリコプターを使い、着陸場所周辺のサンプルを収集する計画も明らかにしました。

中国は2021年、NASAがPerseveranceローバーとIngenuityを火星に着陸させた数カ月後に「火星表面巡航ドローン」と称する、Ingenuityによく似たプロトタイプの写真を公開し、将来の火星サンプルリターンミッションへの投入を示唆していました。

中国が計画する着陸地点は、宇宙生物学的な関連性を考慮し、35億年よりも古い火星の地形を優先。また、生命の誕生とその保存に適した環境として、堆積物が豊富であったり、熱水の流れた跡、過去の水活動の痕跡や、地質学的多様性のある場所などを優先事項として挙げています。また、ミッションは国際的な惑星保護方針に準拠すると説明しています。

中国の火星サンプルリターンミッションは、2022年6月に発表された計画では2028年後半打ち上げ~2031年7月にサンプルの地球への到着をスケジュールしています。これは、NASAおよびESAが計画する、2033年の火星サンプル到着予定に先行するものです。

宇宙ミッションのスケジュールは、予定どおりに進むことよりも年単位で遅れることのほうが多いため、中国と欧米の火星サンプルリターンのどちらが先に実現するかはまだわかりません。しかし、いずれにせよ地球に火星のサンプルが持ち帰られれば、生命の痕跡や、将来の有人探査に役立つ情報が明らかになることが期待されます。


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《Munenori Taniguchi》
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