日本の宇宙ベンチャーispaceは、2022年12月に打ち上げた「HAKUTO-R」ミッション1 ランダー(着陸機)の月面着陸を試みましたが、タッチダウンが確認される前にランダーとの通信がロスト状態になり、着陸完了を確認できなくなったと発表しました。
ispaceは、26日朝に出したリリースで、「ランダーが月面に対して垂直になったことを確認した」ものの、「予定時刻を過ぎて着陸を示すデータの確認にいたりませんでした」と述べています。なお、着陸時に確認できたデータからはランダーの「推進燃料の推定残量がなくなった」ことと、「急速な降下速度の上昇」が確認されたとしており、「最終的に月面へハードランディングした可能性が高い」としました。
また会見においては、ランダーのセンサーによって把握しているデータ上の高度ゼロ、つまり月面に向けて計画どおり速度を落としつつ降下していたが、そこは実際にはまだ上空であり、逆噴射を継続した結果として推進剤が尽き、落下する格好になった可能性が高いと述べました。高度を測るセンサーの不具合か、ソフトウェアの問題、もしくはそれ以外の原因があったかはまだわかっていません。
とはいえispaceは、今回のミッションにおいて設定した10段階のマイルストーンのうち、8段階目までで成功を収めることができたとしており、これは「今後の月面探査を進める上で大きな飛躍であり、日本のみならず、世界の民間企業による宇宙開発を進展させる布石になると強く信じております」としています。
ispaceのCEO、袴田武史氏は「着陸フェーズまで実行できたことで多くのデータと経験を獲得でき、このミッションの意義を十分に達成した」とし、さらに「この知見と学びをミッション2以降にしっかりとフィードバックし、この経験を活かすこと」が重要だと述べました。なお、ispaceは2024年にミッション2、2025年にミッション3をすでに計画しています。