アップルとGoogleは現地時間5月2日、Bluetooth位置情報追跡デバイス(トラッカー)の悪用による不要な追跡(ストーキング等)を防ぐための業界仕様案を共同で提出しました。
将来的にはiOSおよびAndroidプラットフォームに共通の検出・警告機能を組み込むほか、他社のBluetoothトラッカー製品も共通仕様に準拠してゆくことを視野に入れています。
アップルのセンシング&コネクティビティ担当副社長Ron Huang氏は、自社の忘れ物トラッカーAirTagと「探す」ネットワークが業界初となる不要な追跡対策機能を構築してきたことや、今も改善を続けていることを確認。この新たな業界仕様も、AirTagの保護機能に基づいていると述べています。
同氏によれば、TileやChipolo、サムスン、Eufy、Pebblebeeもこの仕様案に支持を表明しています。これらはBluetoothトラッカーを販売する大手企業であり、実質的に業界を網羅することになります。
本仕様は、標準化団体Internet Engineering Task Force(IETF)を通じて提出され、今後3ヶ月間は関係者から検討とコメントを募集。その後にAppleとGoogleはパートナーとしてフィードバックに対応し、2023年末までに仕様の本番実装をリリースし、iOSとAndroidの将来のバージョンにてサポートする見通しです。
2021年4月にAirTagが発売されて以降、ストーキングや自動車泥棒(あとで盗むためのマーキング)に悪用されたとのニュースは数々ありました。
そのためアップルもアップデートで改良を重ねており、たとえば当初はペアリングしたデバイスから離れると3日後に音を鳴らしていましたが、後に8~24時間のランダムな時間に変更されています。
この仕様作成にGoogleが協力していることは、同社が忘れ物トラッカー製品を出していないため不思議にも思えます。
が、GoogleはAndroid製品による「探す」ネットワークを構築中との噂もあり、独自の忘れ物トラッカー製品「Grogu」を開発中との手がかりも見つかっています。
最近のPixelスマートフォンに、近い距離での正確な位置検出を可能とするUWB(超広帯域無線)チップが積まれていることも、自然な布石とも思われます。
あと1週間ほどで開発者向けイベント「Google I/O」が開催されますが、その場で噂の折りたたみ機「Pixel Fold」やミッドレンジスマホ「Pixel 7a」とともに、Googleの忘れ物トラッカーが発表されるのかもしれません。