Twitterは外部のアプリやBOTがサービスを利用するための仕組みであるAPIの利用プランを4月から大幅に値上げし、無料の範囲を縮小しています。
「良いボット」や試験的な用途向けに提供する無料プランは1か月あたり1500ツイートの投稿のみで、それ以外の機能は使えなくなりました。多くの連携サービスやアプリが停止したのはこの影響によるものです。
しかし、Twitterはこの方針を一部撤回し、気象警報や交通機関の最新情報、緊急通知をツイートする公的機関のアカウントについてはAPIを無料にすると発表しました。
Twitter Dev(開発者向け)アカウントによれば、例外的に無料とされるのは「気象警報、交通機関の最新情報、緊急通知をツイートする認証済みの政府または公営サービス」とのことです。
Verified (認証済み)が条件に含まれていますが、Twitter は月に1000円程度の有料サブスクリプションサービス Twitter Blue加入者の認証に加えて、政府や公共機関向けに灰色のバッジも発行しています。
裏返せば、政府または公営サービスではない民間の警報や交通状況、緊急通知は、認証済みか否かにかかわらずこの無料プランを利用できないことになります。
4月からのAPIプラン変更は、緊急事態や交通情報を伝えるアカウントに影響を与えていました。たとえば米国では、国立気象局が津波の危険を知らせるアカウント「NWS Tsunami Alerts」が「自動ツイートを制限されている」とツイート 。
ほかニューヨークの都市交通局(MTA)も、乗客に安定した更新を届けられないとして運行情報などの提供を辞めると発表していました。
しかし今回の発表を受けて、MTAは「Twitterがメッセージを受け取ってくれてうれしい」とツイート。また方針転換を踏まえて、「今後の更新情報について選択肢を評価中」であるとしています。
とはいえ、無料APIの提供が再開するのはあくまで認証済みの公的機関およびサービスのみ。多くの外部アプリやサービスからのツイートは有料化に伴いせき止められ、民間の地震・災害速報アカウントなども無料APIの恩恵を受けられないままです。
有料のAPIプランとしては、一定範囲のアクセスを認める「趣味やプロトタイピング向け」BASICプランが月100ドル。それ以上の本格的なAPI利用には応相談のエンタープライズプランになります。
TwitterはAPIプランの変更を発表する際に「Twitterのデータは、世界で最も強力なデータセットのひとつ」であることを理由の1つに挙げていました。が、膨大なデータが人々から集まるのも、ここに来れば様々な有益な情報、身の危険を知らせる警告などが受け取れる公共インフラとしての魅力あればこそのはず。無料APIの範囲が認証済み公営サービス以外にも広がることを期待したいところです。