Twitterのイーロン・マスクCEOが、数年にわたり「全く活動がない」アカウントを削除中のため、フォロワー数が減る可能性があると警告しました。
合わせて、Twitterの公式ポリシーも「少なくとも30日ごとにログインしてください」と以前の文言を修正しています。
今年4月19日の時点では「アカウントを有効に保つには、少なくとも6ヶ月に1回はログインするようにしてください」としていましたが、5月3日時点では「30日ごとに」と改めています。
マスク氏は2022年12月の時点で、休眠アカウントのユーザー名15億を解放すると予告していました。
しかし今回の休眠アカウント削除警告の数日前には、Twitterの利用を停止すると宣言した米公共ラジオ(NPR)に対して、ツイートを再開しなければ「@NPR」のユーザー名を他社に割り当てると通告したことが報じられています。
マスク氏がNPRに「国家当局関連メディア」とラベル付けしたことから関係がこじれ、NPRがTwitterの使用を取りやめると発表したのを受けてのことです。
すでに知名度のあるアカウント名が第三者に渡ることはなりすましの危険があり、企業の評判を損なう可能性がある。そうしたSNS専門家の見解を引用しつつ、NPRはマスク氏の通告を「脅迫」と表現していました。
さらにNPR側はマスク氏の通告に対して、Twitter公式ポリシーにある非アクティブアカウントの定義=「少なくとも30日ごとにログイン」していないアカウントと食い違っていると指摘。ただツイートしてない期間が続くだけでは非アクティブではない、との主張です。
そしてNPR側は「非アクティブの定義を変更する予定があるか」と質問したところ、マスク氏は答えなかったと述べています。
そうした背景もあり、マスク氏が削除するという「非アクティブなアカウント」が厳密になにを意味するかは不明です。たとえばトランプ元大統領は、2021年1月から2年以上もツイートしていませんが、もしも昨年11月の復活後から1回もログインしていなければどうなるのか。すでに故人となっている有名人の追悼アカウントにも、新たなポリシーが適用されるのか。
マスク氏は「数年にわたり活動がない」といっているため、少なくとも前者は除外されそうですが、まだツイートを休止してまもないNPRに対して通告していることから、状況は不透明となっています。
また休眠アカウントが削除された場合、そのアカウント名は他人が使えるようになるのか? 現在Twitterのポリシーでは「今の時点(at this time)では、活動休止中のユーザーネームを解放することはありません」と書かれていますが、マスク氏は使われていない名前を開放することが重要だと述べていることから、かつて使われていたユーザー名を新たに取得できるようにする方針と考えられます。
Twitterの休眠アカウント削除については、マスク氏の買収以前にもTwitter社が提案したことがあるものの、故人のアカウントや過去のツイートが消えることへ強い反発があり、Twitter社はそうしたアカウントを「メモリアル」として保存する手段を用意するまでは休眠アカウントの削除は実行しないと述べていました。
今回マスク氏は、著名エンジニアのジョン・カーマック氏から「過去の有益なツイートが消えたり、スレッドが途切れるのは大きな損失」休眠アカウントの名称をそれと分かるように変更してTwitter上に残してはどうかといった提案を受け、休眠アカウントは「アーカイブ」すると答えています。このアーカイブが具体的にどんな意味なのか、過去のアカウントやツイートが何らかのかたちで残るのか等について説明はありません。