ソニーは5月12日、実在感のある立体映像(3DCG)を裸眼で見られる27型の空間再現ディスプレイ「ELF-SR2」を発表しました。6月12日発売予定で、ソニーストアでの価格は55万円。
ソニーの空間再現ディスプレイとしては、2020年10月に発売された「ELF-SR1」があり、本機はその後継モデル。ディスプレイが15.6型から27型へと大型化したことで、細部の確認が容易になり、コンテンツ制作の品質向上に貢献します。
医療教育・ヘルスケア分野では、人体の広い範囲を原寸大で確認できるようになり、医師が実物の器具と実際の患者の3Dスキャンモデルを並べて検討するといった、3DCGを使う・見せる用途での実用性が向上しています。
ソニーによれば、初代はコンテンツ制作者や医療関係者などの利用を想定していたのに対して、新製品SR2はより大きく見やすいサイズになったことから、店頭での商品展示やプレゼンテーションなど、一般消費者が様々な立体コンテンツに触れる用途への拡大を見込んでいます。
ELF-SR2は、独自の高速ビジョンセンサーと視線認識技術により、画面を見ている人の瞳の位置をリアルタイムに検出します。左右の目の位置に連動したステレオ映像をリアルタイムに生成することで、立体視を実現しています。
搭載する視線認識センサーが第2世代に進化し、顔認識および追従パフォーマンスが向上。薄暗い環境でも瞳認識の精度が向上し、マスクをつけたままでも正確に顔と目の位置を認識できるようになりました。
初代は接続したPCでトラッキングを処理していましたが、SR2ではディスプレイ側でハードウェア処理することでCPUへの負荷も軽減しています。
画面の大型化にあわせてトラッキング範囲も広角化しており、上下左右の広い範囲から見ても、位置に応じてその場にあるような立体映像を表示できます。
このほか、ブラビアで培った知見とデータを応用した超解像エンジンを搭載。2K映像を4K映像にアップコンバートも可能です。さらに、偽色補正や裸眼立体視でおきるクロストーク(左右の目の映像が混じり、線が2重に見える現象)を低減する処理も追加されています。
ディスプレイの仕様としては、27型 3840 × 2160ピクセルで、輝度は400nits。AdobeRGB 約100%の色域に対応しており、色深度は10bit(8bit+FRC)。片目ごとの実効解像度は2K。
本体サイズは622 x 419 x 5 mmで、重さは約6.5Kg(いずれもアクセサリー含まず)。VESAマウント(100 × 100mm)にも対応しています。
ELF-SR2の発売にあわせて、空間再現ディスプレイ用のアプリを検索できるサイト「空間再現ディスプレイ アプリセレクト」も開設されます。互換性のあるアプリや関連するケーススタディなどの情報を簡単に見つけることができ、空間再現ディスプレイの実利用促進をサポートするとのことです。
また、3DCGのデータを空間再現ディスプレイで手軽に再生できる「空間再現ディスプレイ プレーヤー」も提供開始。3DCGソフトAutodeskのMayaに対応したプラグインも2023年内に提供予定としています。
このほか、空間再現ディスプレイ用のコンテンツ制作を容易に行える専用SDKが開発者向けサイトで提供されます。SDKはUnityとUnreal Engineに対応しており、OpenGL、Direct X11/12、OpenXR(2023年内に対応予定)を使用した開発が可能です。