時速45kmまで対応する自転車用フルフェイスヘルメット「Virgo」。脳を保護する安全構造MIPSを採用

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Munenori Taniguchi

Munenori Taniguchi

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フランスのスタートアップThe Beamが、最高45km/hで走行する電動自転車にも対応する自転車用ヘルメット「Virgo」を開発、Kickstarterで6月29日まで支援購入キャンペーンを実施しています。

Virgoは自転車用ヘルメットではあるものの、アゴの部分を守るチンガードが一体化されたフルフェイスタイプになっています。それでいて、バイク用フルフェイスとは違い8つの通気穴で快適さを確保。重さも650gと軽量です。

また電動自転車、電動アシスト自転車に限らず、一般的な自転車や電動キックボード、スケートボードといった身近な乗り物での使用に対応し、通勤などにおいても安全性を高めると謳います。

ヘルメットには着脱・跳ね上げ式のバイザー(クリア、スモーク、ブルーの3色から選択)を装着することも可能で、走行中に小さな虫やゴミが目に入るのを防ぎます。さらに後頭部にはマグネットで着脱できる赤いテールライトが用意されています。このテールライトは、内蔵された加速度計により急激な速度低下を検出しブレーキランプとしても機能します。

もしもの際に実効的な安全機構として、Virgoは「MIPS」と呼ばれる設計を採用しています。MIPSはスウェーデンのMIPS ABが推進する安全システム「Multi-directional Impact Protection System」の略称で、日本語では「多方向衝撃保護システム」となります。

このシステムは、自転車で走行中に転倒し、頭部を強く打った際の脳への衝撃の伝わり方を考慮した設計をしています。一般的なヘルメットは、頭部に対して直線的に衝撃が加わることを想定して設計されていることが多いのに対し、MIPSは、実際の事故や転倒事故においては何らかの回転運動を伴う衝撃が頭部に伝わる可能性のほうが高いとし、回転運動に最適化したテスト基準を設けることで、安全性を担保しています。

ヘルメットの構造としてはポリカーボネート / ABS製のシェルに発泡ポリスチレン(EPS)のフォームライナーを組み合わせたもので、これによりEUのヘルメット安全基準 CE EN1078、最高速度45km/hまでの電動自転車(e-bike)向けヘルメットの安全規格NTA-8776、米国消費者製品安全委員会の定めるCPSCに準拠します。

ちなみに、日本国内では自転車のヘルメット着用は努力義務に留まっている状況なので、ヘルメットを着用していなくても罰則はありません。一方、万一の事故の際に、自転車保険を適用する際、ヘルメット着用を条件とする補償を受けるには、SGマークやCEマークなどに準拠したヘルメット着用が求められる場合があります。このあたりは加入の保険会社に確認しておくことをおすすめします。また日本では電動アシスト自転車でアシストが効くのは24km/hまでに限られるものの、自転車そのものは軽車両として扱われるため、規制上は制限速度以下、または道路状況に応じた適切な速度での走行が可能です。

記事執筆時点において、The Beamは出資支援の見返り(リワード)としてVirgoを受け取れるKickstarterキャンペーンを実施中。出資枠は1個90ユーロ(1万3411円)から。キャンペーンの目標支援出資額は1万ユーロですが、すでに8万6000ユーロを超える出資が集まっています。

キャンペーン期間は日本時間6月30日午前3時59分まで。製品の準備や生産がスケジュールどおり進めば、2023年8月にはリワードが出荷される予定です。

※訂正:初出時、ヘルメットの安全基準についての記述において「日本自転車競技連盟(JCF)が定める安全基準に合格するための条件として一般財団法人製品安全協会が基準を定めるSGマーク、またはCE、CPSCに準拠することが求められる」と紹介していましたが、JCFの公認/推奨要領の改訂により、現在はSG、CE、CPSCいずれかへの適合はJCF公認の条件から外されているとのこと。お詫びして訂正いたします。


《Munenori Taniguchi》
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