米連邦取引委員会(FTC)は、マイクロソフトが687億ドルでアクティビジョン・ブリザードを買収する計画の仮差止を求めていましたが、12日(現地時間)に連邦地裁により棄却されました。
これを不服としたFTCは控訴しましたが、第9巡回区控訴裁判所により却下されました。それに伴い、連邦地裁による買収の一時停止命令が現地時間14日の23時59分(日本時間で15日16時59分)に無効となり、また一歩、買収成立に近づきました。
マイクロソフトのブラッド・スミス社長は、この却下を歓迎。「わが社は、第9巡回区(控訴裁判所)がさらに取引の延期を求めるFTCの申し立てを却下した迅速な対応に感謝しています。これにより、世界的な規制当局審査マラソンのゴールにまた一歩近づきました」と述べています。
この「規制当局審査マラソン」とは、FTCのほかEUや英CMA(競争市場庁)など、全世界での規制当局から反トラスト法(独禁法)違反かどうかを、1年以上にわたり審査され続けたことを指しているのでしょう。なお、もしも買収が成立しない場合、マイクロソフトはアクティビジョンに最大30億ドル相当の違約金を支払うことになります。
しかし、マイクロソフトはまだ英CMAとの問題を解決していません。同局はクラウドゲーム市場において競争を阻害する可能性があるとの懸念から、買収申請を却下すると発表。
マイクロソフトは異議を申し立てましたが、現在では両者ともクラウドゲームに関する懸念を解決すべく、買収契約をどのように変更するか検討するため、法廷闘争を一時中断することに合意しています。
もっともCMAは、マイクロソフトとの協議は初期段階に過ぎないとコメント。さらに買収に関する調査全体を延長し、最終的に買収契約を許諾するか、または最終的な命令を下す期限を7月18日から8月29日に繰り延べています。
またBloombergは、マイクロソフトがCMAに買収契約を許可してもらうため、英国でのクラウドゲーム事業の一部を売却することを検討していると報じていました。いよいよ、具体的な着地点が見えてきたのかもしれません。