ロシア国営宇宙企業Roscosmosが、1970年代に終了した「ルナ計画」再開となる「ルナ25号」の打ち上げを実施しました。この探査機は以前に水の兆候が見つかったとされる、月の南極付近のクレーターを目指します。
ルナ25号はロボットアームやバケット、そして8つの科学機器を装備しており、着陸地点の地表をすくい上げて分析し、氷状の水が底にあるのかを調べます。着陸予定地点のボグスワフスキー・クレーターはその底部が、なにかが噴出したような平らな地形になっており、レゴリスと呼ばれる土壌の中の水素含有量が高いことが過去の研究で報告されています。
ルナ25号は5日後に月軌道に到着し、約1週間をかけて円形軌道から楕円軌道に移行し、その後着陸する計画となっています。
なお、月の南極付近を目指している探査機はルナ25号だけではなく、7月14日に打ち上げられたインド宇宙研究機関(ISRO)のチャンドラヤーン3号が、現在月の南極付近への着陸に備えている状況です。チャンドラヤーン3号は8月23日を着陸予定日としていますが、ルナ25号が順調に月へ到達すれば、インドの探査機よりも先に月面へと降り立つ可能性もあります。いずれにせよ、いち早く着陸に成功したほうが、月の南極付近に降り立った初の探査機と呼ばれることになるでしょう。
ルナ25号は、着陸に成功した場合、そこで約1年にわたって、土壌を採取し様々な実験・調査を行うことになっています。もしかしたら月面からの水発見の第一報ももたらされるかもしれません。
ちなみに、チャンドラヤーン3号が着陸を完了すれば、インドはロシア(ソ連)、米国、中国につづく4か国目の「月への着陸に成功した国」になります。