ルナ計画として47年ぶりの月面探査ミッションであるロシアの探査機『ルナ25号』が、このミッションで初めての月面の写真を送信してきました。ロシアの国営宇宙企業Roscosmosは、この写真をTelegramに公開しています。
Roscosmosの説明によると、ここに写っているのは月の南極、裏側寄りにある「ゼーマン」と呼ばれるクレーターです。クレーターの中心の座標は月面における南緯75度、西経135度で、クレーター周囲の縁の部分は底部から見て8kmもの高さがあるとのことです。
8月10日に打ち上げられたルナ25号は、現在は月の軌道を周回しており、17日には、搭載する科学機器を使って月表面から放出されるガンマ線と中性子の強さを測定したほか、月周回軌道上の宇宙プラズマや星間ガス、宇宙塵などに関するパラメーターが得られたとのこと。ただ、この軌道上での滞在はあと数日で、おそらく21日前後には月の南極付近にあるボグスワフスキー・クレーターへの着陸を試みる予定になっています。
月の南極付近は、これまでの探査で豊富な水が凍った状態で存在する可能性が高いと考えられており、ルナ25号は着陸後、約1年間をかけて、土壌サンプルの採取や搭載する科学機器による分析を行い、水を探します。
8月10日に打ち上げられた『ルナ25号』とそのミッションは、47年前に米国のアポロ計画と争ったルナ計画を再開し、新たなロシアの月探査時代の幕開けとなるものです。最後のロシア(当時はソビエト連邦)の月探査機、ルナ24号は1976年に打ち上げられました。
ちなみに、現在月面への着陸を控えている探査機はルナ25号だけではありません。インドのチャンドラヤーン3号も、ルナ25号から2~3日遅れでの月面着陸に備えて、月の軌道上で準備中です。インドは、この月面着陸が成功すれば、ロシア(ソ連)、米国、中国に続く4つめの月面着陸国になります。NASAはまだ、Artemis計画で月面探査機を打ち上げるには至っていませんが、今年4月には有人月周回ミッションに向け、女性と黒人を含む4人のクルーを発表しています。