ロシアの宇宙機関Roscosmosは8月20日、月着陸探査機「ルナ25号が月面に衝突して失われた」と発表しました。ルナ25号は8月19日に、21日の月面着陸に向け、運用チームが軌道修正を行いましたが、その直後に「緊急事態」になったと説明されていました。
問題が発生した後、Roscosmosはしばし沈黙していましたが、新たなTelegramへの投稿で「予備的な分析の結果、実際のスラスター噴射のパラメーターが計算値から逸脱したため、ルナ25号は予定外の軌道へ移行し、月面との衝突で失われた」と述べました。そして問題の原因調査は、特別に編成された委員会が取り組むとしています。
1976年以来、47年ぶりの月着陸を目指したルナ25号は、月の南極付近に着陸し水氷の探索や、着陸地点周囲の堆積物と岩の科学的調査や、非常に薄い月の大気の分析などを実施する予定でした。また、将来の月への飛行士の着陸に向けた技術的な試験も実施内容に含まれていた説明しています。なお、ルナ1号の打ち上げは1959年で、続く2号で初めて月面に送り込むことに成功しています。
Roscosmosは日曜日、ルナ25号の衝突を詳細に調べる調査チームを立ち上げ、このチームがルナ25号に発生した問題とその原因を突き止めるだろうと述べました。
ちなみに、Roscosmosはルナ26号の計画も進めていますが、その打ち上げはまだ数年先の予定です。しかしそれも、ルナ25号の失敗により、さらに遅れる可能性があります。
また現在、ロシアよりも先に月の軌道に到達していたインドのチャンドラヤーン3号が8月23日もしくは24日に月面着陸を試みる予定。NASAもやはり月の南極点を目指しており、現在のところは、2025~2026年の間に有人でのArtemis3号ミッションを行う計画です。