SUSE Linux EnterpriseやRancherなどのオープンソースソフトウェアの開発や提供を行うSUSEは、筆頭株主であるMarcel LUX III SARL(以下Marcel)の意向によって現在ドイツ フランクフルト証券取引所で行っている株式の公開を終了し、非公開企業になることを発表しました。
Marcelは、同社が管理運営しているファンド「EQT VIIIファンド」を通じてSUSEの株式の79%を保有するSUSEの筆頭株主です。
SUSEの取締役会と監査役会は、上場廃止によってSUSEがビジネスにおける優先事項と長期的戦略の実行に集中できる戦略的な機会を得られるとして、この発表を支持するとしています。
上場廃止は10月前半の予定で、その後のSUSEは事実上Marcelが保有する非公開企業となります。
SUSEは今年(2023年)3月に、Red Hatで約20年のキャリアを積んできたDirk-Peter van Leeuwen氏がCEOに就任し、今月に入ってからは同じくRed Hatで15年のキャリアを積んできたFrank Feldmann氏がチーフストラテジックオフィサー(CSO)に就任、CFOも交代するなど、主要なポストにおける新たな人事が続いていました。
こうした新たな人材の登用や今回の上場廃止は、前述の取締役会と監査役会のコメントにあるように、株式公開による四半期毎の業績向上へのプレッシャーを気にすることなく、長期戦略の実行にフォーカスするために計画されてきたものではないかと推察されます。
SUSEは先日、RHEL互換のLinuxを開発すると発表し、オラクル、SUSE、Rocky LinuxメインスポンサーのCIQと共に「Open Enterprise Linux Association」の設立を発表しました。
こうした長期的にならざるを得ない取り組みへのスタンスが、上場廃止後も変わらないことを期待したいところです。
この記事は新野淳一氏が運営するメディア「Publickey」が2023年8月21日に掲載した『SUSE、筆頭株主の意向により上場廃止し、長期的戦略の実行に集中へ』を、テクノエッジ編集部にて編集し、転載したものです。