NECは2023年8月18日、フォスター電機と共同開発したB2B向け完全ワイヤレス型ヒアラブルデバイス(イヤホン型スマートデバイス)「RN002 TW」の予約販売をAmazonで開始しました。
発売日は2023年9月8日で、販売価格は4万2800円です。
製造はフォスター電機が行っています。
RN002 TWは2020年にマクアケの応援購入サービス「Makuake」で2020年10月から販売を開始し、目標金額の100万円に対して1490%の1490万円の購入総額でプロジェクト成功したもの(2022年10月には国内外向けに目標金額7960万円でプロジェクトを再度行ったものの、そちらは合計318万4000円で不成功に終わりました)。
今回はそのモデルに新たな機能を搭載し、一般販売することになりました。
主な機能として挙げられるのが、9軸センサー(3軸加速度センサー、3軸ジャイロセンサー、3軸コンパス)によるヘッドトラッキング機能、人の耳の穴(外耳道)を含めた頭部の空間構造の個人差を利用した「耳音響認証」機能、温度センサーなどを用いた生体情報モニタリング機能、通話アクティブノイズキャンセリング機能など。
加えて一般販売製品では、新たに生体情報(外耳孔表面温度、脈関連情報)を取得する機能を搭載しました。
購入者にはヒアラブルデバイスの各種機能を試せるサンプルアプリを提供するほか、購入者限定でAndroid/iOS向けアプリの開発に活用できるSDK(ソフトウエア開発キット)も提供します。アプリのソースコードはGitHubで公開予定。
RN002 TWに搭載された耳音響認証は、耳の穴を含む頭部の内部構造が人によって異なることを利用して個人認証を行う生体認証のこと。
生体情報取得用マイクによって耳の中の音をセンシングし、そこから脈拍や呼吸による音を信号処理することによって、一人ひとり固有の生体情報として抽出する技術です。
指紋センサーに指を当てる(指紋認証)、カメラに顔や目を近付ける(顔認証・虹彩認証)ことなく、イヤホン型の機器を耳に装着することで個人認証できることを特徴としています。
SDKによってアプリを開発することで、オンライン会議などのサービスを利用する際に耳音響認証によってID・パスワードを自動入力したり、出退勤や勤務状況を把握したりできるようになります。
また、左右の2箇所に装着した9軸センサーのデータを組み合わせることで、1箇所のセンサーより詳細なヘッドトラッキングが可能とのこと。これによってヨガやストレッチなどの運動時の体のバランスを可視化したり、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)デバイスやアプリとの連携も可能になります。
不成功に終わったMakuakeの第2弾プロジェクトのWebサイトでは、耳音響認証と音声操作によってスマートロックを開閉するデモや、9軸センサーを用いて頭の動きに合わせてロボットを遠隔操作するデモ、Bluetoothビーコンを使って屋内のどの場所にいるのかを推定するデモなどが公開されています。
個人認証や生体情報の取得のためには常に装着している必要があるものの、両耳ではなく片耳での利用も可能とのこと。SDKを利用したアプリの開発が必要になることと、連続再生・連続通話時間が最大6時間というのがネックになりますが、コンタクトセンターのオペレーター、宅配便のドライバーなど、さまざまな業務に活用できる可能性がありそうです。