KDDIは、10月19日に発売の高耐久スマホ「TORQUE G06」を発表しました。
製造はこれまでのTORQUEシリーズに引き続き京セラが担当。機種変更と対象料金プランの利用で端末価格を1万1000円割り引くキャンペーンも実施します。
TORQUEブランドを冠したスマホが登場するのは、約2年半ぶりのこと。京セラがコンシューマー事業からの撤退を表明しており、後継機の登場を危ぶむ声もありましたが、無事、発売が決定した格好です。
先代の「TORQUE 5G」は、初の5Gモデルだったこともあり、筐体が大型化していました。元々、鈍器のような端末ではありますが、その鈍器感がより増していた格好です。
これに対し、KDDIには「端末が大きい、重たい」という声が寄せられていたと言います。ユーザーの反響を受け、TORQUE G06では特徴である耐久性を向上させながら、小型・軽量化。カメラも画質も改善しています。
タフネス性能は、2メートルからの落下耐久試験や打撃試験などをクリア。TORQUE史上最多という全29項目のテストを通過しています。米国の国防総省の調達基準であるMILスペックは満たしつつ、独自の試験も実施することで耐久性を高めているのがTORQUEならでは。
こんなに頑丈なスマホを持って、一体どこに行くのかと思うほどのタフネス性能を追求しています。
一方で、最近のスマホらしい一面も。メインカメラは6400万画素のクアッドピクセルセンサーになり、ピクセルビニングによって画素サイズを上げて、感度を高めています。
このメインカメラと超広角のワイドカメラに加え、新たに200万画素のマクロカメラも搭載。TORQUEとして初のトリプルカメラ端末になりました。
TORQUEと言えば、物理キー。同モデルにも、側面にダイレクトボタンが搭載されており、1回押しや2回押し、長押しにアプリや各種機能を割り当てることができるほか、水中モードで撮影している際にはライトを呼び出せます。
さらに、TORQUE G06は本体上部にもボディカメラボタンを搭載。これでもかとボタンを搭載し、タッチパネルが扱いづらいシチュエーションでの操作を可能にしています。
KDDIがTORQUEの提供を続けるのは、アウトドア好きのコンシューマーから根強い人気があることに加え、法人需要も高いからだと言います。
実際、その比率は半々程度。過去にはヤマト運輸に採用され、コーポレートカラーを配したカスタムモデルを納品した実績もあります。
TORQUE G06のカラバリが主張の強いレッドと、ベーシックなブラックの2色になっているのもそのため。前者がコンシューマー狙い、後者がコンシューマーと法人の両方をターゲットにしています。
この法人比率の高さが、京セラがTORQUEの開発を継続した理由の1つになっています。冒頭で述べたように、京セラは5月にコンシューマー向けのスマホ事業からの撤退を表明しています。
通信機器の開発そのものを辞めてしまうのではなく、京セラが得意とする法人事業やソリューションにリソースをシフトさせていくのが目的。
実際、コンシューマー事業からの撤退表明後も、ドコモとソフトバンクに納入される高耐久モデルの「DuraForce EX」を発表しています。
TORQUEを継続したのも、理屈は同じ。京セラとしては、法人事業の一環として高耐久モデルを開発するなか、KDDIに提供しているというわけです。
その端末をコンシューマーに提供するのかはKDDIの判断。何やら解釈改憲のような感もありますが、この理屈であれば後継機の開発も続けられるため、TORQUEユーザーには朗報と言っていいでしょう。
ただ、レッドとブラックに加え、イエローもカラバリとして展開していたTORQUE 5Gと比べると、コンシューマー向けの展開はやや縮小していることもうかがえます。
TORQUE 5Gを導入した際には、アウトドアブランドのコールマンとコラボした限定モデルも発表されていましたが、TORQUE G06には、そのような特別仕様はありません。
スマホの販売台数が全世界的にシュリンクするなか、KDDIの端末販売台数も減少傾向。TORQUE 5Gのころのようにバリエーションを広げるのは難しかったのかもしれません。
とはいえKDDIも「タフネス分野に関しては昔から根強いファンがいる」としており、「今の時点では、商品化を継続したいと考えている」(パーソナル企画統括本部 プロダクト企画部 企画1G グループリーダー 近藤隆行氏)と言います。
「法人のお客様からも、非常に高いクオリティの商品を求める声をいただいている」(同)ため、京セラとは継続性も議論したとのこと。TORQUEのような高耐久モデルがラインナップから消えてしまう心配をする必要はなさそうです。