マツダが、東京モーターショー改めジャパンモビリティショーに合わせ、「2ローターRotary-EVシステム」を搭載するという電気スポーツカーのコンセプトモデル、『MAZDA ICONIC SP』を発表しました。
マツダを代表するロータリーエンジン搭載スポーツカーのRX-7と、2人乗り小型オープンスポーツカーとして世界最多の販売台数を誇るロードスター、それぞれの特徴を取り入れたような、クルマ好きな人なら思わず「このまま売ってくれ!」とお願いしたくなるデザインに仕上がっています。
2015年に発表されたコンセプトカー「RX-Vision」は、FRカーの美しさを際立たせる低いボンネットを持つロングノーズに、力強さを印象づける4ローターの「SKYACTIV-R」ロータリーエンジンを搭載していましたが、ICONIC SPではそれが2ローターのエンジンに変更され、それを「クルマ中央部に寄せて搭載」したことで、ぐっとコンパクトに引き締まって見えるようにしています。
マツダはこのコンセプトカーに搭載するエンジンについて「水素など様々な燃料を燃やせる拡張性の高さ」があり、「再生可能エネルギー由来の電力でバッテリーを充電すれば、実質的にカーボンニュートラルでの走行が可能」だと述べ、新世代ロータリーが環境に優しいエンジンであることを強調しています。環境への配慮としては、内装に植物由来ファブリックや牡蠣殻による再生素材を採用しているところもアピールポイント。災害時やアウトドアレジャーではバッテリーから電力を供給するといったユーティリティー性も持ち合わせます。
また、近年のマツダの看板色だったソウルレッドとは異なるコンセプトカラーVIOLA REDについては「鮮やかな発色を追求すると同時に、造形を際立てさせる陰影感を生み出すことを目指し」て開発したとのこと。
ICONIC SPの主要諸元としては、外形寸法が4180 × 1850 × 1150mm、車体重量が1450kg、ホイールベースは2590mm、前後重量配分は50:50、2ローターRotary-EVシステムによる最高出力370PS、パワーウェイトレシオが3.9となっています。
なお、あくまでコンセプトカーということもあり、その他の技術的詳細についての説明はありません。ただし、ICONIC SPのプレスリリースを眺めていると「バッテリーの充電のためだけなら、なぜ2ローターにする必要があったのか?」という疑問がわいてきます。そこで、” あくまでコンセプト補正 ” 全開でとにかく都合よくリリースを読むと、メーカーは「2ローターRotary-EVシステムを採用」とは述べているものの、これが電気駆動だけの完全なEVとは言っていないことに気づくかもしれません。
そしてもうひとつ、ICONIC SPのヘッドライトは、リトラクタブルとは言わないまでも、開閉式になっているように見えます。かつてはスポーツカーの象徴だったリトラクタブルの血すじが、このコンセプトにも受け継がれていると(勝手に)思うと、特にFD系RX-7や初代ロードスターを所有していたことのある人は「もうこのまま売って!」と鼻息も荒くなりそうです。