新型コロナのパンデミックは世界中でロックダウンを引き起こし、人々は自宅でできる娯楽としてゲームを楽しむ機会が増えました。
特に、他のプレイヤーとコミュニケーションを取りながらプレイするオンラインゲームの分野は急速に成長していますが、一方で、オンラインであることを悪用し、疑わしいデータ収集を行うようなゲームも登場している模様です。
フィンランド・アールト大学のコンピューター科学研究者による新しい研究では、21のオンラインゲームを調査し、データの取り扱いにおける慣行の分析や、ゲームにおけるデータ共有に関する、プレイヤーへのインタビュー調査を実施、潜在的に疑わしいデータ収集や、プレイヤー間でプライバシーに関する誤解や懸念があることを報告しました。
たとえばオンラインゲームの多くでは、アカウント作成の際にユーザーがメールアドレス、ユーザー名、支払いに関する情報といった個人情報を入力する必要があります。 またこれらのプラットフォームは、プレイヤーごとの統計情報、ゲーム内購入履歴、チャット ログ、ユーザー生成コンテンツなど、豊富なゲームプレイ データを収集します。 これらのデータから、プレイヤーの行動や好みについて多くのことが推測可能になります。
研究者の一人で、アールト大学准教授のヤンネ・リンドクヴィスト氏は「われわれのゲームの分析によると、一部のゲームではゲーム内通貨などの報酬を餌に、人々にオンラインでアイデンティティを明かすよう仕向けていることがわかった」と述べています。
その例として、研究者らはゲームにおける「ダークデザイン」手法が用いられていると説明し、ゲームのアカウントを外部サービスと接続してプレイヤー情報の交換を許可させたりといった、通常のネットワーク利用では行われないような行動をプレイヤーに取らせるゲームが見つかったとしています。
また、一部のゲームではユーザーはSNSアカウントを使って(またはリンク)して簡単にログインできますが、その際にSNSアカウントからどのような情報が取得されているかが、ゲーマーに示されていない場合もあるそうです。
人気が拡大するオンラインゲームではあるものの、過去にはゲーム内での嫌がらせ行為などが問題視されるなど、厳しい監視の対象にもなってきました。これらの問題は現在も尾を引いています。一方で、EUと米国ではテクノロジー規制の強化が推進されつつあり、プライバシーへの懸念も強くなりつつあります。
研究者の一人は「ゲーム内でのデータの取り扱いは、プライバシーポリシーに並べられた法律用語の陰で目立たなくされていることがよくある」とし「ゲーム開発企業は、プレイヤーのプライバシーを保護し、オンラインでプレイする際の安全を確保する必要がある」と述べました。
リンドクヴィスト氏は「ゲームは本来、誰にとっても楽しく安全であるべきで、プレイヤーの自主性をサポートするものでなければならない。そのためのひとつの方法とは、プレイヤーが有害と思うデータ収集をオプトアウト可能にすることだ」と提案しています。