民間宇宙ステーションの開発などを手がける航空宇宙企業Sierra Spaceが、スペースシャトルの1/3ほどの大きさの宇宙往還機「Drean Chaser」の初のテスト飛行に向けて準備を進めています。
Dream Chaserは、2004年にSpaceDevと呼ばれる宇宙企業によって開発が発表された航空機型の宇宙船で、当初は2~7人の飛行士を地球低軌道へ送り、帰還することを想定していました。
SpaceDevは2008年にSierra NevadaCorpolation(SNC)に買収され、紆余曲折を経て現在はSNCから分離したSierra Spaceが、ISS補給船としてDream ChaserにShooting Starカーゴモジュールを適用し、最大5.5トンの荷物)をISSに運搬、ISSからは約1.8トンを積んで帰還できるようになることを目指して開発を行っています。
Ars Technicaによると現在、この宇宙往還機は機体の組み立てがほぼ完了に近づいており、今後数週間の間にオハイオ州にあるNASAのニール・アームストロング試験施設へ持ち込まれる段階に来ているとのこと。
NASAはこの試験場で1~3か月ほどの期間をかけて振動や音、厳しい熱、真空環境での耐久性などを試験する予定です。
一連の試験をクリアすれば、Dream Chaserはフロリダ州にあるケネディ宇宙センターに移送され、初となる試験打ち上げに備えます。現在のところは、4月の実施が予定されているものの、スケジュールが予定どおり進むかどうかはまだわかりません。
また、Dream Chaserを搭載して打ち上げるロケットにはUnited Launch AllianceのVulcan Centaurロケットが使われる予定ですが、こちらも初の打ち上げを12月に予定している段階であり、ここで何か問題が見つかれば、Dream Chserの初飛行にも影響する可能性があります。
そして、これらの関門を無事に突破できれば、その先にはISSへのドッキングが目標になります。なお、Sierra Spaceは、将来的にはDream Chaserによる地球低軌道への有人飛行も可能にしたいと考えています。
現状、NASAがISSへ荷物や人員を輸送できる宇宙船はSpaceXのDragon宇宙船しかありません。SpaceXとともに2014年にボーイングも宇宙船Starlinerの開発契約をNASAと結んでいますが、いまだ本番運用できる状態に到達できていません。
Sierraは以前、NASAの民間有人輸送船開発の契約をめぐって上記2社と争い、敗れました。しかしNASAは2016年に、安定した貨物輸送を提供するためにSierraを選定しました。2017年には、Dream Chaserがきちんと滑空し自律的に着陸できるかを確認するため、プロトタイプを上空から投下し、帰還させる試験も行われました。
新型コロナのパンデミックもあり、その後の開発もまた遅延に見舞われたものの、SierraはDream Chaserの2番目の試験打ち上げ用の機体についても、2026年の完成を目標として準備に取りかかっているとのことです。