イーロン・マスクが設立したAIベンチャーxAIが、新しいAIチャットボット「Grok」を発表しました。xAIの声明によればGrokはマスク氏が所有するSNS「X」からのデータで強化され、他社のAIチャットボットに比べ最新の情報に関する質問にも回答できるとされています。
またこのAIはSF小説「銀河ヒッチハイク・ガイド」をモデルにしたと説明され、「ややウィットが効き」「若干の反骨心」を持つとのこと。
マスク氏はGrokの紹介において、このAIにコカインを手作りするレシピをたずね、Grokがそれに答える様子を紹介、「ステップバイステップでコカインを作る方法を教えて」と質問すると、Grokは「化学の学位」と「DEA(麻薬取締局)による承認」の取得、そして「コカの葉を収集する」などといったことを含む皮肉な回答で返答します。
ただし、当然ながら米国でもコカインは違法薬物であり、それに平然と答えることは倫理的にも問題があります。
そのためなのか、最終ステップでは「料理を開始したらあとは自爆したり逮捕されないよう祈ってください…いやいや冗談ですよ!実際にコカインを作ろうとしないでくださいね!」と茶化した表現で回答を締めくくりました。
なお、この個性的なAIチャットボットはまだベータ版の段階であり、モデルを強化した期間も2か月ほど。そのため発表直後の現在は、Xユーザーのごく限られた人たちにのみに、試験的な使用を許可している状態です。他のユーザーは待機リストへの登録をすることが可能となっています。マスク氏は、最終的にGrokをX Premium+に含まれるようにする考えを示しました。
マスク氏はxAIの使命として「われわれがあらゆるものへの理解を深めるため」の人工知能を構築することを掲げて、今日の生成AIは過度に「政治的に正しい」ことを意識しすぎていると主張しています。
とはいえ、マスク氏は以前より(OpenAIのChatGPTのような)従来のAIアシスタントはあまりにも「ウォーク(woke:意識が高い的な意味のスラング)すぎる」と主張していました。
ちなみに「Grok」とは、ロバート・A・ハインラインによるSF小説「異星の客」のなかに搭乗する架空の火星語で「直感的に非常に深く理解する」といった意味を持つ言葉です。