クロアチアの電気自動車メーカーRimacが、ドイツのパーペンブルク自動車試験センターに電動ハイパーカー『Nevera』を持ち込み、自動車の世界最高速記録を打ち立てました。
Neveraは2022年に量産EVの世界最速記録412km/hを記録していますが、今回はリバース(バック)走行で最高速度となる275.74km/hを叩き出し、新たな世界最速の座を手中に収めました。
NeveraをドライブしたテストドライバーGoran Drndakは、バックミラーを頼りにアクセルを踏み込み、1914PSというとてつもない馬力をいつもとは逆向きで路面に叩き付けました。自動車免許を持っている人なら、高速でまっすぐにバックすることがいかに難しいかわかるでしょう。
Drndakは「ステアリングホイールをとても優しく動かす」必要があり「確かに、慣れるには時間がかかった」と記録樹立後に述べ「これは 4 つの独立した電気モーターで何ができるかを示したものであり、私たちにとって楽しいテストでもあった」とも述べています。
このチャレンジにはギネス世界記録の担当者も立ち会っており、その場でこの最高速度275.74km/hを正式に世界記録と承認しました。またこのスピードは、1967年にランボルギーニ・ミウラが記録した当時の(もちろん前進の)世界最高速度275km/hよりも速いとRimacは主張しています。
Neveraは電気自動車であり、エンジンとトランスミッションを持つ従来の内燃機関(ICE)車と異なり、前後のホイールセットにそれぞれシングルスピードギアボックスを搭載し、バックも前進と同じように加速できます。また各車軸の左右にフルトルクを加えることができます
ただ、車体のデザインは当然ながら前進時に空力的に機能するように設計されており、バックでは空気抵抗が大きくなると考えられます。また車体を冷やす冷却用のエアフローなども前進時を想定したものであり、バック走行を高速かつ長時間することはあまり車体にとっては良くなかったはずです。しかし、RimacのNevera のチーフプログラムエンジニアMatija Renicは、やってみたらどんなに楽しいだろうという話になったと述べています。
なお、世界記録を達成した「Time Attack」カラーのNeveraは世界に12台のみの限定発売。同じカラーリングの車体は今年5月、1日に23の世界記録を樹立した時にも走行しています。