任天堂は『ゼルダの伝説』を扱った実写映画の企画開発を始めたことを明かしましたが、これは同社の第2四半期決算説明会とほぼ同じタイミングでした。
その質疑応答の場に、同社の代表取締役フェロー宮本茂氏が登場し(毎回、登壇しているわけではありません)今回のプロジェクトについて踏み込んで語っています。
まず宮本氏は「ゼルダの伝説」実写映画化について「世界中のファンの期待を裏切らない映画を制作するのは大変なハードルだと考えています」として、そのハードルを覚悟した上で、共同制作するArad Productions Inc.代表のAvi Arad氏とは「10年ほど前から話し合いを続けてきました」と語っています。
ちなみに10年前の2013年といえば、任天堂的にはWii Uやニンテンドー3DS発売から約1~2年目の頃のこと。ゼルダシリーズとしては3DS用『ゼルダの伝説 神々のトライフォース2』が発売された年です。かたやArad氏が関わった『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)公開から1年後。「どれほど前からか」という目安になるでしょう。
宮本氏は「映画はゲームと同じで、納得がいくものが完成するまでじっくりと時間をかけて制作に取り組む必要があります」として、そのためには「完成するまでしっかりと支えてくれるスポンサー」を確保する必要があることから、任天堂自らがスポンサーとなると説明しています。
さらに、映画の制作に携わる人々についても「自分たちが納得できる良いものが完成するまで時間をかけて取り組むことができる関係者が集まっています」。
一流の人材が関わり続けるには、有形無形の大きなコストが掛かるはずですが、それを引き受ける覚悟ある人々ということでしょう。
そうした文脈で、自ら共同プロデュースした大ヒット映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』にも言及。同作ではイルミネーション創業者で代表のChris Meledandri氏と自らが「映画制作にかかわるすべての決定権を持ち、ふたりが納得いくまで時間をかけて制作を続けました」と振り返っています。
その姿勢は「ゼルダの伝説」実写映画化でも貫いており「Arad 氏と十分に時間をかけて準備を進めています」「皆様の期待を裏切らない良いものができたタイミングで公開できればと考えていますので、楽しみにお待ちください」と語っています。
最新マリオ映画も企画開発開始を発表したのが2018年で、作品が劇場公開されたのが2023年のこと。CGアニメと実写映画とでは制作体制や映像素材作り等あらゆる事情が異なりますが、ファンは相当待つことを覚悟した方がいいかもしれません。
日本発の世界的人気作品の実写化として、先例となるのがNetflix版『ワンピース』でしょう。2017年に制作発表してから数年は続報がとだえていましたが、今年8月末に配信開始してから93カ国でトップ10入り、46カ国で初登場1位を獲得し 、さっそく続編のシーズン2制作が正式に決定していました。
『ゼルダの伝説』実写映画も、長年待った甲斐のある大傑作となることを期待したいところです。