先日、アメリカのHumaneというスタートアップが新たなウェアラブルデバイス「Ai Pin」を発表しました。服の上からピンバッジのように装着可能なカメラ付き小型デバイスで、音声による対話型AIのアシストが簡単に利用できるのが特徴です。スマートフォンやAR/VRグラスとは一線を画す新たなガジェットの登場として注目が集まっています。
アメリカでは現地時間の11月16日から一般販売が始まりました。また事前登録したユーザに対しては2日前の11月14日に先行販売が行われました。筆者はこの先行販売で「Ai Pin」を注文することができたので、今回はその様子と気づいた点についてまとめます。
先行販売当日の様子
前回の記事でも紹介したようにHumaneではDiscordによるコミュニティーが始まっていて、プロダクトの発売前から多くのメンバーが参加しています。
先行販売当日も開始30分前くらいにDiscordにアクセスしてみたのですが、既に販売開始を待ちきれない人たちのメッセージで溢れていて、追いつくのが大変な状況でした。
またDiscordではHumane側から、Humaneのサイトにログインすることで注文ができるようになる、1アカウントで購入できるのは1台のみ、SafariでアクセスすればApple Payが利用できる、など事前に知っておくと役立つ情報が共有されていました。
発売開始時間になり、Humaneのサイトの注文画面に行ってみると、「Eclipse」、「Lunar」、そして「Equinox」の3種類のモデルが表示され、この中から選択するようになっていました。私は一番左のマットブラックのEclipse(699ドル)を買おうと決めていたので問題なかったのですが、LunarやEquinoxを買おうと考えていた人は100ドル高い799ドルの値段設定になっていたため、購入時に戸惑った人も多いようです。サイドがクローム仕上げのため高くなっているという説明。発表時の値段は699ドル~となっていたので間違いではないのですが、デザインの違いで値段が異なることは事前にアナウンスされていても良かったのかもしれません。
▲Ai Pin購入時の画面。3種類のデザインから選択するようになっている
配送見込み時期を確認すると、2024年初頭(early 2024)となっていました。12月ぐらいには手に取って触れるかもと期待してたので、来年になるのはちょっと残念です。ちなみにDiscordを見た限りでは、今回購入した人は2024年初頭となっているようでした。注文日が早い順に送付するという説明です。来年初頭というのはいつのことなのかよくわかりませんが、早めに出荷されることを期待して気長に待ちたいと思います。
アクセサリの追加購入
無事注文を終えてDiscordに戻ってみると注文を完了した人たちのメッセージやスクリーンショットが溢れていました。すぐに売り切れるという状況ではなく希望する人は注文できていたので、待ちに待ったガジェットを購入できた喜びを分かち合っている感じでした。その中に混じってアクセサリの質問が増えてきました。買わないといけないアクセサリはあるのか? そもそもAi Pinを買うと何が付属しているのか? 確かにAi Pin購入時には説明はなかったので、不安になります。
Humane側からすぐに回答があり、Ai Pin本体以外にバッテリブースター2個、充電パッド、充電ケース、USB-Cアダプタとケーブルが付属しているそうです。必要なものは全て同梱されていることがわかり安心しました。こういう時のDiscordでのサポートは便利ですね。
▲DiscordではHumaneのSam Shefferが直接質問に回答していた
これ以外のアクセサリとして、本体を保護する「Shields」、厚手の服などに取り付ける時に利用する「Clip」や逆に薄手の服の時に使用する「Latch」が販売されていました。通常Ai Pinは服の裏からバッテリーブースターをマグネットで取り付けることで固定する仕組みになっています。まずはこの標準のスタイルで試してみようと思うのでClipやLatchは見送りましたが、予期せぬ落下による損傷はできるだけ避けたいのでShieldsのみ追加で購入しました。
▲追加アクセサリとして販売されているのShield、ClipそしてLatch
国際ローミングについて
Ai PinはT-Mobileのモバイルネットワークを使って、通話、SMS、データ通信を実現しているのですが、Discordを見ていると国際ローミングでも使えるかという質問が何度か見られました。
Ai Pinは単体では動作せず、月額24ドルのHumaneサブスクリプションを購入する必要があります。このサブスクリプションには、T-Mobileのモバイルサービスの他、Humaneのアカウントに紐づくクラウドストレージ、そしてAIサービスの利用料が含まれています。
国際ローミングはこのサブスクリプションプランには含まれないのですが、プレミアムアドオンサービスとして追加購入することで利用可能となり、1日5ドル、10日35ドル、30日50ドルの3種類のパスから選べるそうです。この料金設定からわかるように旅行等の一時的なアメリカ国外での利用を想定したものです。
今回のAi Pinの販売及び発送はアメリカの住所に限定されているので、アメリカ国内で受け取った後に自国に持ち込んでローミングで使用できないか、と考えた人もいたようでしたが、月額のサブスクリプションの料金に加えて、国際ローミングの料金を含めるとかなり高額になるうえ、現段階ではデバイスのアクティベーション方法も不明のため、かなりハードルが高いと思われます。
一般販売での改善点
このように先行販売では大きな混乱もなくスムーズに購入することができました。Discordを通じて自分と同じようにAi Pinの発売を待ち望んでいた人たちのメッセージを見ることができたり、Humaneの中の人たちからの情報を確認できたりと、これまでに経験したことのないガジェット購入体験となりました。
この2日後の11月16日には一般販売が始まりました。先行販売時に問い合わせが多かったAi Pinの同梱品の一覧については写真付きでがわかりやすく表示されるようになっていて、改善されていたことがわかります。先行販売は一般販売前にこうしたフィードバックを得るための意味合いもあったのかもしれません。
また一般販売時には、ベアグミがAi Pinの上に置かれたイラストが注文の詳細ページに追加されていました。DiscordやSNSで「Ai Pin注文したよ!」とレポートするときはこの部分のスクリーンショットを使ってね、ということのようです。先行販売の時に、Discordに注文画面のスクリーンショットを投稿する人が多かったのですが、中には間違えて自分の住所を晒してしまう人もいたのでこれを防止するためだと思われます。実際、一般販売時にはベアグミのスクリーンショットが多く見られました。
▲注文完了画面に出てくるベアグミのイラスト
こうして長い間ステレスモードで開発していたHumaneのAi Pinの販売がついに始まりました。実際に手元に届くのは2024年初頭なのでもうしばらく待たないといけませんが、このデバイスによりどのような新しい体験ができるのか楽しみで仕方ありません。
その一方で、本体価格699ドルに加えて月額24ドルのサブスクリプションというのはなかなか高額だと感じます。考え方によっては、もう一台スマートフォンを追加するのに匹敵するような出費だと言えるでしょう。今後スマートフォンを完全に置き換えるものになっていくかどうかがポイントになりそうです。