2022年に、開発中の人気ゲーム最新作『Grand Theft Auto VI』に関する機密情報に違法アクセスし、90以上の動画とスクリーンショットを流出させた10代のハッカーに、無期限の入院処分が言い渡されました。
英BBCによると、現在18歳のArion Kurtajは別のサイバー犯罪の保釈時、警察官にまだ身柄を拘束されているさなかに滞在したホテルから、部屋にあるテレビ、Amazon Fire TV Stickと携帯電話、キーボード、マウスを使ってRockstar Gamesに侵入、まだ発表もされていなかった『GTA VI』の動画や画像データ、ソースコードを盗み出しました。
そして、KurtajはさらにRockstarの社内Slackにアクセスし「24時間以内にTelegramを通じてRockstar側から連絡がなければ、ソースコードを公開する」と脅迫、TeaPotUberHackerのハンドル名を使用して実際にインターネット上のフォーラムサイトにソースコードや動画データなどを投稿しましたが、その後すぐにロンドン市警察によって「保釈条件のあからさまな無視」により現行犯で再逮捕され、今回の裁判まで拘留されていました。
ただ、その拘留中もKurtajは暴力的行為をはたらき、傷害や物的損害の報告が数十件にのぼったと報告されています。
行動をみた医師らは、Kurtajが深刻な自閉症であると診断し、裁判を受けるに適当でないと判断。しかし精神健康評価に続いて「サイバー犯罪に戻る意向を継続的に表明している」と報告されたことから、裁判官は依然として一般社会の安全にとって高いリスクであるとみなしました。この処分により、医師がもはや危険ではないと判断するまで、Kurtajは安全な病院に入院することになります。
Kurtajは国際ハッカー集団Lapsus$の主要メンバーであり、グループの他のメンバーも多くは10代の若者で構成されているとされます。
今回の裁判では、ほかに17歳の未成年メンバーも共犯として審理されており、Kurtajや他のLapsus$メンバーとともにNvidiaや英国の電話会社BT/EEに対する不正アクセスと情報の窃盗で強化監視下での18か月間の青少年更生処分をVPN使用禁止のおまけ付きで言い渡されています。
なお、英当局はLapsus$のメンバーは英国とブラジルの主に10代の集団と考えており、処分された2人のほかにも事件の共犯者が逃亡しているとみています。
ただ、ハッキング被害で金銭を要求されたことを認めない企業もあるようで、このハッカー集団による被害の規模がどれほどかはわかっていません。