YouTubeと広告ブロックとの戦いで新たな動きが見られました。
YouTubeは広告収益により運営コストを賄うビジネスモデルであり、広告の表示を抑止するブロッカー等(Chromeなどのブラウザ拡張機能含む)の使用は、利用規約で禁じています※。
昨年半ばから広告ブロックを使うユーザーに警告を開始し、無視を続ければ再生不可にするテストを開始。人気の広告ブロッカーAdblock Plusも取り締まり対象となっており、Adblockでは今後の取り組みやユーザー側でできる対策の説明をしていました。
それに続き、広告ブロックを使うとYouTube動画の読み込みが遅くなると複数のユーザーが報告しています。
大手掲示板Redditユーザーの1人は、広告ブロックを有効にするとバッファリングが遅くなり始めたと報告。例として挙げた動画では、途中で突如として止まっています。
複数のユーザーが、自分も広告ブロックがオンの状態だと同様の現象が起こり、オフにすると直ったと投稿。Chromeだけでなく、Edgeでも起きているとの声もあります。
この現象は最近になって始まったわけではなく、昨年11月にもRedditで報告するユーザーがいました。こちらの使用ブラウザはFirefoxであり、ユーザーエージェントをChromeに偽装すると読み込みが劇的に速くなっていました。
当時、複数のメディアが問い合わせたところ、YouTubeは「広告ブロッカーの使用はYouTubeの利用規約に違反します。以前から YouTubeの広告を許可するか、広告のないYouTube Premiumを試用するようユーザーに呼びかけてきました」との原則を再確認。
その上で、「先週、広告ブロッカーを使うユーザーは、どのブラウザかに関係なく、読み込みの遅延を含む、最適ではない視聴を体験した可能性があります」と回答していました。
さらに「広告ブロッカーをアンインストールした場合でも、一時的に読み込みの遅れが発生する可能性があるため、ブラウザの更新をお試しください」ともコメント。
これらYouTubeのコメントは、ブラウザに広告ブロッカーを入れた状態が「最適ではない視聴体験」と関連があることを示唆するものです。広告ブロッカーは本来YouTubeが想定している存在ではなく、その挙動によっては「最適ではない視聴」の引き金にもなりうるという、一般的な原則の再確認といえます。
広告ブロッカーを入れた環境での「広告ブロックをオフにするように」との警告は、YouTubeがポップアップ表示という正規の手段により示した公式の方針です。
が、今回の読み込み遅延については、YouTubeが意図的に行ったとの発言もポップアップ表示もなく、公式の方針かどうか不明です。広告ブロッカーに起因する、単なる不具合の可能性もあります。
YouTubeは一度にまとめて広告を挿入することで、動画中断を減らす変更もしています。これは視聴者の8割近くは広告が動画全体に散らばるより、まとまって表示されることを好むとの調査結果に基づく措置です。
更新: YouTube側の意図的な遅延ではなく、AdBlockのバグであることが判明。AdBlock開発者は修正版を配布しています。
※ 禁止事項の「2. 本サービスのいずれかの部分を迂回、無効化、不正利用、またはその他の方法で妨害すること(またはこれらのいずれかを試みること)。(後略)」