以前にアラミド繊維を用いた超薄型のiPhoneケースを愛用し、年間を通してタフな状況でもiPhone 14 Proを守り続けてくれたというコラムを書いたが、その際に「まだ入手していないが」と注釈を入れた上で、n max nの本革ケースについて触れていた。
本革製(サスティナブルレザーも選べる)のFleeveという、スタンドにもなるMacBook Airのスリーブを愛用していたのがn max nに注目していた理由の一つだ。
量産品にも関わらず、なかなか質の高いなめし革を使っており、厚ぼったさがなくスリム。しかも革も面積が広いにも関わらず均質で、さらにはシンプル構造ながらスタンド機能付きということで気に入っていた。
そんなn max nには以前からiPhoneケースも存在しており、ハンドステッチでタイトに編み上げられたケースに魅力を感じていたのだが、ひとつだけ残念なことがあった。それはMagSafeに対応していないこと。
しかし今年からそんなn max nのiPhoneケースがMagSafe対応になった。
なんて思っていたら、テクノエッジで販売するという。正直言って、全く予想外。まさかテクノエッジが物販を始めるとは。
Genuine Leather Full Coverage Case 販売ページ
Genuine Leather multi-functional Case 販売ページ
ということでインプレッションをお届けしするが、「全く忖度するつもりはない」ので、編集部さんも代理店さんも覚悟して読んでほしい。
結論から言えば、この手の製品が好きな人にはたまらない魅力があると思うが、一方で注意すべきポイントもある。
薄くなめされた牛革で作ったミニマム構造の本革ケース
もうこの見出しだけで、ほぼ説明し尽くされているのだが、n max nのiPhoneケースは使用されている本革素材が薄く均質になめされており、それをハンドステッチで編み上げることで、本革らしい高い質感、風合いと薄くコンパクトな使用感を両立していることが魅力だ。
背面はコシのある薄い芯素材を薄い革でラミネート。裁断した部分(コバ)の塗装も丁寧。前面は画面周囲ギリギリの細いフレームに、同じく薄くなめした革を巻き付けている。
そして前面と背面、両方のユニットを、iPhone本体と同じ形状のダミーに装着し、ハンドステッチで締め上げていく。こうすることで、本革ながらも極めてタイトなiPhoneケースに仕上げているのだ。
ボタンやコネクタの切り欠きを除けばコバが露出することがないため、長期的に使っていても劣化するポイントが少ないだろう点も魅力に感じている。
また画面周囲の細い芯素材が画面保護の役割を果たすほか、前面と背面を繋ぐステッチ部分が、実際に手にした際の滑り止めと側面バンパーの役割を兼ねているなど、なかなか合理的な構造だ。
画面周囲の芯材は、マイクとスピーカーのスリットを避けるよう、太さが調整されており、上下端からのスワイプを妨げないよう配慮していた。
さらにケースへの出し入れも、差し込み式のシンプルな構造でフタをする設計で、よくできてるなぁと初めて見た時は感心したものだ。
iPhone 15/15 Proシリーズ向けの最新モデルでは、背面部の芯素材に磁性体を埋め込むことでMagSafeに対応しているが、MagSafe非対応モデルも用意されているので、好みに応じて選ぶことは可能。
iPhoneスタンドとカードケースを兼ねるフラップとストラップが装着できるマルチファンクションタイプと併せ、三種類から選択することになる。
※テクノエッジ購買部での取り扱いは、MagSafe対応の「Genuine Leather Full Coverage Case」とMagSafe対応でフラップ付きの「Genuine Leather multi-functional Case」の2種類になります。
Genuine Leather Full Coverage Case 販売ページGenuine Leather multi-functional Case 販売ページ
機能を選ぶか?それともタイトさを選ぶか?
iPhone 15/15 Plus/15 Pro/15 Pro Maxと、全ての機種に展開し、カラーバリエーションも豊富なn max nの本革ケースだが、選択の上で迷うのはMagSafe対応が必要かどうかと、スタンド兼用のフリップがつくマルチファンクションにするかどうかだろう。
さて個人的には待望していたMagSafe対応だが、このケースの構造、特徴を活かすという意味では、MagSafe非対応のベーシックなモデルが一番の好みだった。ただし、それは機能とのトレードオフを感じたからだ。
スペック上の表記はないが、MagSafe対応版は磁性体を背面に埋めるためなのか、少しだが厚みが増しているように感じた。
そこで輸入代理店にも確認して厚みの違いを調べたところ、実測値でおよそ0.1ミリに違いがあった(MagSafeありが2.27ミリに対し、なしは2.16ミリ)。ほんの少しの違いだが、予備知識なしでも気づく違いではあるのでギシギシにタイトな薄いケースを望むならMagSafe非対応版がいいだろう。筆者ならこれを選ぶ。
一方でMagSafe対応版は、確実なワイヤレス充電が行える点で魅力的だ。また、デスクスタンドぐらいならば十分な保持力を発揮してくれる。車のダッシュボードに取り付けるアダプタやリングホルダーに関しては、やや不安を覚える。ただし、これは組み合わせるアクセサリ側の磁力が十分ならば問題はない。
より機能的なケースが欲しければ、スタンド兼用のフリップがついたマルチファンクション版を選ぶこともできる。カードが入るといっても手帳型よりもずっと薄く、スタンド機能も備えている。必要なら付属の革製ストラップを取り付けて使うことも可能だ。
つまり、いずれも本革製ケースとして薄くタイトにタイトに編み上げられた基本部分の魅力は共通しているが、さらに機能性の違いで選べばいいということになる。マルチファンクションタイプも、同等機能の他製品に比べれば薄い。
また、フェイクレザーや、なめし革を製造する際の削りかすを再生させた素材とは異なり、本物ならではの高い質感と耐久性が期待できる。本革は合成皮革とは異なり、裏面を削り、薄くなめしても強度を失わない。今後、使い込めば天然素材らしく傷や汚れも出てくるだろうが、一方でそうしたエージングは外観を味わい深いものに育てくれる。エージングによる深い味わいが期待できるのもまた、素材が本革だからこそだ。
革の質感を活かしたいなら第一候補に
ところで本革素材を用いたケースは、アップルが純正品を廃盤にしてしまったとはいえ、さまざまなメーカーが作っている。中には質の高い革を使っている場合もあるが、それらとの違いは皮革の使い方だ。
皮革をプラスティックなどのケースに貼り付けたように見える製品は、多くの場合、ケースと皮革素材を一体成形しているが、この場合はケースの端の部分にコバがくるため、一般に画面の周辺に革の端っこの部分が現れる。ここを塗装して処理するのが一般的だが、以前のアップル製ケースのように高級品は、皮革素材を薄く仕上げて内側に巻き込むようにすることで、コバの耐久性や見た目を良くしている。
一方、n max nのケースは画面の淵に、そもそもコバが露出しない。なぜなら2つのピースを編み上げているためだ。そして編み上げ部分の風合いも革製ケースならではの質感を強調している。
ただし二点だけ改善をリクエストしておきたい。
ひとつはカメラレンズ部をカバーするバンパーがないこと。鏡筒部は丈夫なステンレスでできているとはいえ、傷をつけたくないユーザーも多いだろう。
もうひとつはUSB-Cコネクタ部の切り欠きが小さめなことだ。アップル純正ケーブルなど通信用ケーブルの多くは問題なく利用できるが、電流が大きめの充電ケーブルやコネクタ部にDACなどの回路を内蔵しているものなど、一部にはこのケースの切り欠きに合わない場合もある。
そうは言っても、同種の本革ケースには同様の課題を持つものもある。革の質感を活かしたいなら、まず第一候補に入れるべき製品だ。
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