Googleの自動運転車部門から派生したWaymoの自動運転車(ロボタクシー)が米サンフランシスコ市内で群衆に取り囲まれ、破壊された末に炎上しました。
車両は無人で負傷者は報告されておらず、現地の安全当局と緊密に連携して対応しているとの声明をWaymoは出しています。
実際に事態を目撃したマイケル・ヴァンディ氏は、Waymo車が群衆に取り囲まれ、フロントガラスを叩き割られるなど乱暴狼藉をされてから炎上するまでを記録した動画をX上でシェアしています。
ヴァンディ氏は自動車情報メディアAutopianの取材に対して、事態の顛末をざっと次のように語っています。
現地ジャクソン・ストリートでは人々が中国の旧正月(現場はチャイナタウン地区)を祝って花火を打ち上げており、散発的に交通渋滞が起こっていた
Waymoのロボタクシーが群衆が道を空けるのを待っていたところ、何者かがボンネットに飛び乗ってフロントガラスを破壊
その30秒後に他の人がボンネットに飛び乗ったところ、周囲から拍手
その後にスケートボードを持った人物がガラスを殴ったり、車に落書きを始めた
花火を持った人物が車の下で火を点けたが何も起こらなかった
さらに車内で花火が点火され、車両は炎上した
要は、中国の旧正月で人々が道を塞いでいるところにロボタクシーが停車。そのボンネットに飛び乗ったりガラスを割るものが現れたが、誰も止めなかった。事態はエスカレートし、何者かが花火に火を点けて車内に放り込んで炎上、という流れです。
つまり、「たまたま旧正月で人々が路上にあふれ渋滞」「乱暴者がガラスを割ったが、周囲は止めるどころか煽った」「たまたま、現場には花火がたくさんあった」という偶然の状況が重なっているようです。
Waymoは攻撃の原因には言及せず。サンフランシスコ市警は、火災の原因を調査中とコメントするのみで、逮捕者が出たかどうかは明らかにしていません。
サンフランシスコ消防署(SFFD)が現場に駆けつけたときの映像は、次の通りです。
その後SFFDは「窓ガラスが割られ、車内で花火が点火され、最終的に車両が全焼した」と報告。火を消し止めた後、黒焦げの残骸になった車両の写真もあります。
今のところ、なぜWaymo車両が攻撃されたかを報じている報道は確認できません。
ただし今回の事件に先立ち、サンフランシスコでは自動運転車がらみのトラブルが何件かありました。たとえば昨年秋、消防局は要救護者の死亡がCruiseのロボタクシーが道を塞いでいたせいだと主張。
同じくCruiseの自動運転車が女性をはねて引きずった一件もあり(Cruiseは他の人間が運転する車が歩行者をはねてロボタクシーの前に投げ出したと主張)。また先週、Waymoの車両が自転車と衝突した事件が起こったばかりです。
今回の事件が旧正月の熱気に浮かされた輩による突発的なものか、あるいは自動運転車への根深い反感があるのか。さらなる調査の進展を待ちたいところです。