民間のミッションで初めて、米国にとっても1972年のアポロ17号以来の月面への着陸に成功したIntuitive Machinesの着陸船Odysseusは、着陸時に予定していた姿勢ではなく、横向きに転倒してしまった模様です。
Intuitive Machinesの共同創業者でCEOのスティーブ・アルテマス氏は、着陸翌日の会見で「たとえ転倒していたとしても、これまでのところかなりの運用継続能力を維持している」と述べています。
2月15日に打ち上げられたOdysseusは、約1週間かけて月の周回軌道へ到達しました。
22日の降下開始前には着陸に必要なレーザー距離計が正常に作動していないことがわかりましたが、ミッションチームは代替の測距機器として、実験用として搭載していたNASAのNavigation Doppler Lidar(NDL)と呼ばれる機器を使用することを決め、ヒューストンから即席のソフトウェアパッチを受け取り、適用しました。
その結果、2時間遅れながらOdysseusは着陸を成功させたわけですが、その着陸もすんなりとは行きませんでした。
Intuitive Machinesの共同創業者兼CTO、ティム・クレイン氏によると、プロセスにおいて、機体は垂直に時速3.2kmで降下しているはずでした。ところが、実際には垂直に時速10kmで降下しつつ、水平方向に時速約3.2kmで流されており、着地の瞬間に着陸脚のひとつが折れ、Odysseusは転倒してしまったと推測されています。
ミッションチームは、着陸後の機体がどのような状況であるかを確認するために、搭載する科学機器のひとつであるEagleCamを使って撮影することを考えています。
EagleCamは本来、降下中に月面上空30mまで来たところで機体から展開され、一足先に月面に落下して、降下してくるOdysseusを撮影する予定でした。しかし、予定外の手順での降下で操作が煩雑になったことから、ミッションチームはEagleCamの展開を中止していました。そのため、改めてEagleCamを展開すれば、機体の様子を撮影し、その状況を確認できる可能性があります。
転倒こそしたものの、搭載している太陽電池に日が当たり、バッテリーが満充電状態になるほど電力供給ができていることはOdysseusにとって幸いでした。
太陽電池に光が当たらなくなるまで太陽が移動するには、まだ時間があります、Odysseusは極寒となる月の夜を乗り越えられる設計ではありませんが、少なくとも日の光があるうちは活動を続けられるはずです。