レッドブルが「世界最速」FPVドローンRBD1開発、パイロットみずから設計。時速300km超のF1マシンにぴたりと追尾する映像公開

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Munenori Taniguchi

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エクストリームスポーツを効果的にマーケティングに取り込んできたエナジードリンクのレッドブルが新たに公開したのは、レッドブル・レーシングのF1マシンを世界最速のカメラ搭載ドローンでぴったり追跡する空撮映像です。

F1世界選手権の2024年シーズンは今週末に開幕します。昨シーズンはレッドブル・レーシングF1チームのマックス・フェルスタッペン選手が圧倒的な強さを見せつけて世界チャンピオンの座を防衛し、先頃行われたシーズン前の合同テストでも、圧倒的な安定感とスピードを誇示していました。

そんな自動車レースの頂点に立つレッドブルのF1マシンと世界チャンピオンを追いかけ回すドローンパイロットとして選ばれたのは、Dutch Drone Godsチームからドローン・レーシング・リーグ(DRL)に出場する25歳、ラルフ・ホーゲンバーク氏です。

ホーゲンバーグ氏はShaggyというニックネームで知られ、ドローン歴はすでに10年を超えるエキスパート。その操縦技術は折り紙付きで、レッドブルがドローンを使った映像を撮影する際にも、ドローンパイロットとしてサポートを提供しています。

今回レッドブルが公開した映像は、ShaggyがDutch Drone Godsチームとともに製作した世界最速のFPVドローンをサーキットに持ち込み、レッドブルが2024年シーズンを戦うために開発した新型F1マシン「RB20」と、英国のシルバーストンサーキットでそのスピードを競う様子を捉えています。

Shagguyがレッドブルから今回の異種格闘技戦のアイデアを聞かされたのは約1年前だったと言います。

過去に時速370kmという、F1マシンをしのぐ超高速ドローンを構築する試みがあったことをShaggyたちは知っていました。しかしそれはあくまで短い直線をロケットのような機体のドローンですっ飛ぶだけの話であり、1周5.8kmのコースをフルスピードで、バッテリーを爆発させることなく飛ばす出力と、コーナリング性能をいかに両立させるかが、今回の撮影用に製作するドローンにとってのチャレンジングなポイントでした。

Shaggyとチームはまず、サプライヤーに超高回転なローター駆動用モーターと制御コンポーネントがあるかをたずね、有望な組み合わせでの供給を受けることを可能にしました。

つぎに超高速で安定飛行しつつ、方向転換も俊敏にこなせる機体を自ら設計。外部フレームを構築してから、3Dプリンターでパーツを作っては試すプロトタイピング手法でその性能に磨きをかけていったのだそう。

機体にはカーボン素材なども使用し、すべて自分たちで加工して製作した結果、スタートから4秒で時速300kmに到達する俊足ドローンが生まれました。

最初のF1マシンとのセッションでは、コーナーにさしかかったところで、レーシングカーの後方に生まれる乱気流に姿勢を乱され、あっという間にコース外へ吹っ飛ばされてしまいました。

Shaggyが見ているFPV映像も途切れ、ゴーグルを外し、肉眼でなんとかコース内に帰還させることに成功したという状態でした。

いったん引き上げたShaggyらは、レッドブルF1チームの技術部門であるRed Bull Advanced Technologiesの助けを借りて何か所か機体を改良し、カメラも小型して軽量化した新型機「Red Bull Drone 1」を作り上げました。

そしてRBD1を再びサーキットに持ち込み、もう一度F1マシンの追尾飛行にチャレンジしました。

2回目のチャレンジは雨上がりとなり、濡れた路面で滑りやすい状況での走行になりました。またドローンにとってはマシンが跳ね上げる水煙に巻き込まれると大きな抵抗を受けるため、やや厄介な状況でもありました。

しかし、結果的にこのコンディションはよりF1マシンのダイナミックな走行を演出することになります。マシンが微妙にグリップを失う様子や、巻き起こる水煙がまるでマシンをロケットのように見せてくれています。

そしてなにより、F1マシンと同じ速度で飛行することで、まるでビデオゲームを見ているような感覚も生まれました。

特にマシンに接近する場面では、滑って外側に流れそうになる車体を一瞬のカウンターステアで御するドライバーのステアリング捌きも見ることができました。

映像を見たマックス・フェルスタッペン選手は「いままでにない映像だね。クオリティがすごい」「あんなに速いドローンは見たことがない」「ファンたちもF1の観戦のしかたが変わるかもね」と興奮気味にコメントしています。


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《Munenori Taniguchi》
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