NASAが独自のテーブルトップロールプレイングゲーム(TTRPG)『The Lost Universe』を発表しました。
小説『指輪物語』のようなファンタジー世界を舞台とした、想像力を掻き立てる内容です。
導入部分の設定を大きく端折って記すと……いまから数百年前、遙か遠くの宇宙で文明を育んでいた惑星Exlaris(エクスラリス)は、接近してきたブラックホールの重力で軌道を外れて浮遊惑星になってしまったものの、天文学者たちが科学と魔術を織り交ぜて編み出した技術により、惑星の都市部に明かりと安定的な生活を取り戻すことに成功しました。
一方、都市部以外は、日の光を失った常に暗闇の荒野が拡がり、夜目の利くクリーチャーらがさまよう危険な地域になっています。
時が過ぎて現代のエクスラリスでは、都市部とそれ以外の暗闇の世界は相変わらずながら、世の中を治める立場に就いてきた天文学者らがさらに学問と魔法のハイブリッド技術を発展させており、かつてのエクスラリスに似た惑星である地球にリンクする呪文が開発されます。
そして地球の軌道上でブラックホールやダークエネルギーの研究に貢献するハッブル宇宙望遠鏡の存在を知ったエクスラリスの天文学者が、ハッブルにアクセスして自分たちの住む惑星を研究するようになりました。
しかし、この研究データに目を付けた欲深いドラゴン、イシリアスが、ハッブルで得た特別な知識を独り占めするために天文学者らをさらい、さらに呪文と研究データを奪い、しまいにはハッブルそのものまで盗み出して……といった内容になっています。
プレイヤーらは、この失われたものを探し出すために立ち上がった野心的な冒険家としてパーティを結成し、エクスラリスの街やクリーチャーが潜む暗闇の荒野を旅して謎を解き明かして行きます。
ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ等でいえばレベル7~10のキャラクターで構成する4~7人のパーティー向けに設計されており、ゲームシステム自体は好みのTTRPGに簡単に対応させて遊べるようになっています。
NASAいわく、SFファンタジー的な『The Lost Universe』には教育的な要素が盛り込まれており、プレイヤーは科学的な知識を学習しながら、古典的な悪役を討伐するクエストをこなし、さらに宇宙についてより多くの物事を知ることができます。
現在、NASAのウェブサイトでは『The Lost Universe』をプレイするためのマニュアルと、冒険の舞台となる浮遊惑星の地図などがPDF形式のファイルで配布されています。
すべて英語という壁はあるものの、TTRPGと宇宙の両方に興味がある人なら、その世界がどんなものか、少しのぞいて見てみるだけでも面白いかもしれません。