M3 MacBook Air速報レビュー。GPUの実力をゲームで確認 (西田宗千佳)

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西田宗千佳

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フリーライター/ジャーナリスト

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1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。

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M3搭載のMacBook Airが発表になった。手元に15インチ版MacBook Airの実機が届いているので、ファーストインプレッションをお届けする。

といっても、デザインなどの変更はなく、プロセッサーがM2からM3に変わったのが主な進化点だ。すなわち「速くなった」の一言である。


ただ、それだけ終わってもつまらない。

そこで、M3のプロセッサーとしての特徴を考え、普段とは違う視点で考えてみよう。

それは「Macでゲーム」だ。



MacBook Air 15インチのM3搭載版。色はミッドナイト。ゲームでテストするのでコントローラーも用意

■性能はGPUを中心に向上

Appleシリコンは優秀だ。2020年登場のM1も、いまだ十分な性能を持っている。「コアなプロフェッショナルワークでなければ性能は十分」という意見もあるだろう。筆者もそう思う。

特に今回のモデルは、デザインをほとんど変えておらず、プロセッサーだけの変更に見える。

キーボードなどのデザインも変更なし

左側にMagSafeが1つと、USB-C端子が2つある

ただ、時期に応じてプロセッサーは変わっていくものなので、これから買うならM3が基本になる。高性能であるほどOSのサポートも含め「長く使える」わけで、それ自体悪いことではないと思う。

そこで課題になるのが「じゃあ、M1以降の世代からの進化はどこか?」という点だ。

以下は「GeekBench 6」でのCPUベンチマークについて、以下の3機種で比較したものだ。

・MacBook Pro(13インチモデル・M1搭載/メインメモリー16GB)

・MacBook Pro(14インチモデル・M3 Pro搭載/メインメモリー18GB)

・MacBook Air(15インチモデル・M3搭載/メインメモリー16GB)

GeekBench 6でのCPUテスト。緑がマルチコアで青がシングルコア。赤枠内がM3搭載MacBook Air

GeekBench 6でのGPUテスト(Metal)。赤枠内がM3搭載MacBook Air

プロセッサーの種類が異なるが、メインメモリーの量はほぼ同じである。

確かにM3世代は速くなっており、M3 ProとM3の間に明確な差があるのもわかる。

一方で、M3世代とM1とではCPUの速度アップ以上にGPUコアの性能向上が大きく、ベンチマークの数字が上がっているのもわかる。

■GPU性能をゲームでチェック

「いやいやそんなことを言っても、そこまでクリエイティブな仕事をするわけではないし」

そんな風に思う人もいるだろう。

GPUは別に、CG制作や動画編集などのクリエイティブワークのためだけにあるのではない。むしろわかりやすく効いてくるのは「ゲーム」だ。

そこでここでは、2本のMac用ゲームを使って比較してみたい。

1つはコジマプロダクション作品としてお馴染みの「DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT」。1月にMac/iPhone/iPadで動作するバージョンが発売されたので、それを使う。

コジマプロダクションの「DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT」Mac版でテスト。1月に発売されたばかりだ

次に、エレクトロニック・アーツのレースゲーム「GRID Legends」。Mac版は2023年12月に提供が開始された。

もう1つのテストタイトルは、エレクトロニック・アーツの「GRID Legends」

どちらもPCやゲーム専用機にも出ているタイトルだ。

グラフィック設定は全て「最高」のものにしつつ、表示解像度は1920×1080ドットもしくは1200ドットに設定して、Metalのパフォーマンスをチェックする特殊なコマンドを使ってフレームレートを確認しつつ、ゲームの冒頭をプレイしてみた。

結果はシンプルだ。

M3 Proが一番優れているのはもちろんだが、M3とM1の差はかなり大きかった。

「DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT」の場合、M3 Proでは60から70fpsを維持するが、これがM1になると30fps前後に落ちてしまう。

だがM3だと、同じシーンで53から55fpsで、ゲームとしての感触はかなり維持される。

「DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT」での結果。順に、M1・M3 Pro・M3。M3とM1の差がかなり大きい。

「GRID Legends」の場合では、M3 Proで60fps前後の場面で、M1は15から20fpsになり、ゲームとしては苦しくなる。M3でも厳しいのだが、25から30fps前後で多少マシになってくる。

「GRID Legends」での結果。順に、M1・M3 Pro・M3。M3 Proが突出して良いが、M3でもゲーム感覚は維持されている。

高価なM3 Proで高性能なのは重要な話だ。一方、M3でもM1に比べ顕著な性能アップとなっているのは重要である。

なにしろ、テストに使ったMacBook Airは「ファンレス」なのだ。薄型・ファンレスの「日常的に使うMac」で、ちゃんとゲームが動くようになっている点は注目に値する。

今回は時間の制約が厳しく、何時間かプレイして「熱による影響」がどうなるかまでは確認できていない。しかし、ここまでのテストは「最高設定」画質で行っている。設定を少し緩めれば、より処理にも余裕が出てくるだろうし、熱の影響も小さくなるだろう。

■Macのゲームはこれから増えるのか

熱心なゲーマーなら、ここでツッコミを入れたくなるだろう。

「でも、ゲームはWindowsやゲーム機で先に出る。Macはまだ追いついていない」と。

それはまったくその通り。テストに使った2つの作品も、Mac版としては比較的新しいものだが、PCでは1、2年前の作品でもある。

「ゲームのためにMacを買いなさい」とは言わないし、そうしない方が良い。とはいえ、App StoreでもSteamでも、Mac版の扱いは増えてきた。

昨年多数のアワードを受賞し、大ヒットになった「Baldur's Gate 3」もMac版がある(ただし、昨年末までは日本語で遊ぶために多少作業が必要になった。現状のアップデートでどうなったかは確認できていない)し、他のゲームも、「PC版を買っていたらMac版が追加されていた」というパターンが少なくない。

SteamでもMac版が増えてきた。画面は「Baldur's Gate 3」。もちろんMac版がある

なにより、ファンを盛大に回さず静かな環境でゲームができるのが大きい。特にファンレスのMacBook Airはそうだろう。

M3搭載MacBook Airの価値は、その辺も頭に入れて考えてみてほしい。


《西田宗千佳》
西田宗千佳

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