『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』等で知られる漫画家の鳥山明さんが、2024年3月1日に急逝されました。
『ドラゴンボール』公式サイトが、ファンや関係者に向けて公表しています。死因は急性硬膜下血腫により、68歳でした。
葬儀は近親者のみで執り行ったとされ、ご本人の意向により弔問や香典、供え物や献花は辞退しています。
鳥山さんは、1955年に愛知県名古屋市で誕生。『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』が相次いでアニメ化され、80年代~90年代にかけて『週刊少年ジャンプ』の全盛期を支えました。
また初代担当編集者だった鳥嶋和彦氏(Dr.マシリトのモデル)と堀井雄二氏の縁から、『ドラゴンクエスト』シリーズのキャラクターおよびモンスターデザインも手がけています。特に愛らしい滴状のスライムは、その代表作と言えます。
もともとデザイナー出身で、フィギュア作りでプロ級の腕前を持っていたこともあり、立体感あふれるデザインは一級品。そうした絵のうまさが巧みなコマ割りと組み合わさることで、ストーリーの面白さにも昇華していました。
そのマンガ力の高さは、表紙や扉絵などの一枚絵に複数のキャラクターにそれぞれの役割を持たせ、次の瞬間がかいま見えるような構成でも一目瞭然でした。またマンガ空間の中に立体的なカメラワークを持ち込み、敵味方の視点がめまぐるしく変わりながらも非常に分かりやすい展開は、後のマンガ・アニメ・ゲーム業界に大きな影響を与えたと思われます。
特にビデオゲームやコンピュータグラフィック方面での影響については、まず8ビット時代の限られた色数と解像度のドット絵でも存在感を表現できるモンスターデザインの秀逸さ。
さらに後のポリゴン時代には『ドラゴンボール』の立体感とスピード感あふれるバトルを再現しようとした3Dアクションゲームが次々と現れ、キャラクターゲームの水準を大きく押し上げた印象があります。
これらはもちろん、ゲーム開発スタッフの頑張りのためではあります。が、名のあるアニメーターが「キャラクターの骨格や筋肉の付き方がシッカリしている」と評していたこともあり、『ドラゴンボール』が3Dモデリングと抜群に相性が良かった事情もありそうです。
つい数日前に、鳥山さんの読み切り作品『SAND LAND』に関するプロジェクト発表会があり、『ドラゴンボール』連載終了後に反動で「地味で平和な話ばかり描いてきました」とのコメントが出された直後のことです。
最近もアニメ映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』や、今年秋に展開予定のアニメシリーズ『ドラゴンボールDAIMA』に深く関わられていただけに、今回の一報は衝撃的です。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。