マイクロソフトは、DeepMindの共同創業者ムスタファ・スレイマン氏が、自身の会社Inflectionを離れ、新部門であるMicrosoft AIのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼CEOに就任することを発表しました。
スレイマン氏は、マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏直属となり、同じくInflectionから移るカレン・シモニャン氏がチーフ・サイエンティストとして脇を固めます。
スレイマン氏は、シモニャン氏の他にも「数名のチームメイト」がMicrosoft AIに移ると述べています。Bloombergによると、この引き抜きはかなり大規模なものになるようで、残されたInfrecrionは一般消費者向けのチャットボット開発事業を企業向けとして再編成し「AIスタジオビジネスに専念する」予定だとしています。
マイクロソフトのCopilotに関する戦略は、ここ最近はあまりぱっとした話が伝わって来ていません。昨年はBing Chat改めCopilotをOffice製品群、Windows 11、Edgeブラウザーに続々と導入しましたが、今年はマイクロソフトの技術者がOpenAIのDALL・E 3をベースとする画像生成ツール「Copilot Designer」の安全性に関して、FTC(米連邦取引委員会)に問題提起をするなど、あまり良い話を聞くことはありませんでした。
また、OpenAIについてはつい最近iPhoneがGoogleの対話型AI「Gemini」を導入するために交渉中だと報じられたなかで、アップルの別の交渉相手として名前が挙がっており、もしアップルと組むことになると、OpenAIにとってはこちらも大きなビジネスになる可能性もあるかもしれません。
とはいえ、マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏は、マイクロソフトとOpenAIのパートナーシップは依然として最優先事項であると強調しています。ナデラ氏は従業員へのメモの中で「私はムスタファ氏のことを数年前から知っており、DeepMindとInflection、両方の創設者として、また先見の明のある製品メーカー、そして大胆な使命を追求する先駆的なチームの構築者として彼を大いに尊敬している」とブログで述べています。
そして「われわれは、OpenAIの基盤モデルのロードマップをサポートするカスタムシステムと、シリコンワークを含むAIインフラストラクチャーを構築し続けるだけでなく、彼らの基盤モデルの上に革新的な製品を構築していく」としました。
ちなみに、マイクロソフトはオンラインでのイベントを3月21日に予定しています。「New Era of Work」と題したこのイベントは主に企業向けの内容になるとされていますが、Copilot、Windows、Surfaceなどに関するAIの最新技術を発表する模様です。