ドコモは、新料金プランの「ドコモポイ活プラン」を発表しました。
まず、4月にahamo大盛りを対象にした「ahamoポイ活」がスタートし、夏から秋にかけて無制限プランのeximoにも「eximoポイ活」が加わる予定です。
eximoに関しては詳細が決まっておらず、開始時までにahamoポイ活の反響を踏まえつつ、中身を確定していくと言います。
ahamoポイ活は、一言で言えばドコモ版の「ペイトク」。いわば、お金を払ってポイントを買う料金プランです。
ただし、料金プランと完全に一体化したペイトクとは異なり、ahamoのオプションとして「ポイ活オプション」を契約できる建てつけになっています。
このポイ活オプションをつけたahamoのことを、ahamoポイ活と総称する格好です。ポイ活オプションの料金は2200円。契約には大盛りオプションが必須になるため、ahamo大盛りの4950円より2200円高くなり、トータルでは7150円になります。
月々支払う料金は上がってしまいますが、そのぶんポイント還元率もアップします。
通常だと、d払いの還元率が3%アップします。ただし、4月1日からは、終了期間未定のキャンペーンとして10%のポイント還元を実施します。上限額は4000ポイント。
d払いで4万円の買い物をすれば、4000ポイントを丸々回収できる計算になります。仮に買い物が2万2000円だったとしても、元々ahamo大盛りだった人は“元を取る”ことができます。
dポイントは、期間限定ポイントも含めて税抜きの料金の支払いに充当可能。4000ポイントを料金から差っ引くようにすると、料金が4400円割引になるため、実質的な支払い額は税抜きで2500円、税込み2750円で済みます。
元々のahamoは2970円。きちんと“ポイ活”さえできれば、現在、大盛りオプションをつけていない人より実質的な支払額は安くなると言えるでしょう。
そのため、ahamoポイ活には、次のような効果が期待できます。
1つ目は、現在ahamo単体で利用し、かつdポイントを貯めている人が、大盛りオプションをつける可能性があるということ。
これによって、ahamoユーザーからのARPU(1ユーザーあたりの平均収入)が大きく上がる可能性があります。そのぶん支出は増えるわけですが、ユーザーを大容量プランに誘導するための施策と言えそうです。
同時に、d払いの利用も活性化することができます。先に述べたように、キャンペーン期間中でもポイント還元を上限まで受けるには、4万円ぶんの支払いが必要。
1日あたりに換算すると、約1333円の支払いが必須になります。還元率が高ければ、ユーザーにとってほかの“何とかPay”を使う必要がないわけで、PayPayやau PAY、楽天ペイといったサービスから、ユーザーを引きはがす効果も期待できそうです。
ただし、キャンペーンが終わってしまうと還元率が3%に低下するため、そのハードルは一気に上がります。
上限達成には13万3333円の支払いが必要になり、若年層が多いと言われているahamoのユーザーにとっては、かなり厳しい金額。可処分所得のほとんどをd払いで支払っても、達成は困難かもしれません。元を取るための2200円ぶんのポイントを得るのでも、7万3333円の支払いが必要になります。
実際、筆者もソフトバンク回線はペイトク無制限を契約していますが、2月いっぱいで還元率が3倍に上がるキャンペーンが終了し、一気にポイント還元率が5%まで落ちてしょっぱくなってしまいました。
15%還元だったときには、「もっと上限枠をください!」と言いたくなるほどすぐに上限に達してしまいましたが、3月に入ってからは1回の買い物でつくPayPayポイントが微々たるものに。
何とか達成すべく、Yahoo!ショッピングで高額な買い物をしてしまうなど、本末転倒な行動をしています(笑)。
ahamoポイ活の3%はそれよりも還元率が低く、ポイント還元の恩恵を感じづらいかもしれません。ドコモがキャンペーン終了期間を区切っていないのは、こうした事情もありそうです。
ドコモの営業本部 営業戦略部 部長の山本明宏氏は、「ahamoポイ活オプションがどう支持されるかは、お客様の動きを把握してから、どういう形でキャンペーンを終了するのか、あるいは延長するのかを社内でしっかり議論したい」と語っています。
ユーザーの動向を踏まえつつ、ポイ活が沈静化するようであれば再びキャンペーンを投入するというわけで、今後の動向にも注目しておいた方がよさそうです。
一方で、もう1つのeximoポイ活に関しては、投入を予告しただけで詳細は未定。
先の山本氏も、「どのようにお客様のニーズにこたえていくかや、ahamoとの役割分担、住み分けもしっかりしていきたい」と述べており、単純なポイント還元にはならない可能性を示唆しました。
ドコモは現在、マネックス証券を傘下に収め、オリックスクレジットも連結子会社化する予定で、金融事業を買収によって強化しています。
ドコモのスマートライフカンパニー コンシューママーケティング部 部長の伊藤邦宏氏は「今回の発表は“とりあえず”d払いということでお話をしている」としながら、こうした金融各社との連携も「一定のニーズはあるだろうと考えている」と語っています。
ahamoの方はシンプルにd払いのポイント還元率を高める方向性ですが、eximoに関しては、KDDIの「auマネ活プラン」のように、金利などの優遇を提供するプランになる可能性もありそうです。ドコモはこの分野で出遅れていただけに、巻き返し策には要注目と言えるでしょう。