AI作曲サービスにおいてはSunoが一人勝ちの様相を呈していましたが、ついにライバルが登場しました。先週あたりから、「Sunoの2倍はすごい」「これと比べたらSunoはたいしたことない」という新しいAI作曲ツールのデモを聴いたという投稿がXで散見されるようになりましたが、その実体が判明しました(と思ったら違ったようです)。
いずれにしても、サンフランシスコに本社を置くAIスタートアップのSonautoが運営する同名のAI作曲サービス「Sonauto」がサービスを開始しているのを知りました。Y Combinator出身です。
現在、Googleアカウントでユーザー登録すれば無料でAIによる作曲が可能となっています。
基本的にテキストを与えると作詞・作曲・歌唱をしてくれる、Sunoと同じようなサービスで、1回の命令で1分35秒くらいの曲が3曲されます。サービス内でステム音源の分離が可能など、Sunoにない機能も持っています。
プロンプトのみの簡易モードと、歌詞と音楽スタイルを別に入れるカスタムモードが用意されているのはSunoと同じ仕組み。
音源分離はUVR5などのサードパーティーソフトを使えば可能ですが、サービスに内蔵されているのは便利といえば便利です。
現時点では日本語の歌詞が使えず、できる音楽スタイルもかなり狭い印象。ボーカルの音質は良いものの、バッキングの演奏はつなぎが不自然な感じがします。完成度はまだまだです。歌にしても、粗いままの歌唱で、Sunoのようにピッチやビブラートがパーフェクトな感じではないです。そこがリアルっぽいとも言えますが。
Sonautoでは、音源をアップロードし、その一部を参照して楽曲を生成・改変することも可能です。画面上に表示される鍵盤でメロディーを入力して、それを参照することもできます。投稿した楽曲を解析したり、それをリズムベースにしたりといったことも可能。ただし、音楽的な一貫性を持ったままというのは難しいようで、ミュージックコンクレートを聴いているような感じになりました。
Sunoともう一点違うのは、アーティスト名をプロンプトに入れても良いことになっているところ。Sunoは著作権上の配慮でアーティスト名、曲名が入っていると生成ができないようになっていますが、Sonautoではそれが可能となっています。
「Blue Scooby Doo ft. AI Beatles」という曲を聴いてみたところ、売れなかったマージービートっぽくはあるけども、Sunoの2倍良いかと言われると首を傾げるところ。現時点ではあまりそのアーティストに近いとは言えない出来のため、クレームは来ないかもしれません。Sonautoには、アーティスト名や曲名でプロンプトの共有ができる仕組みがあるので、自分が作りたい曲のプロンプトを探すのには便利と言えるでしょう。
A 1960s rock track features The Beatles. Electric guitars provide the jangly rhythm and lead lines that define the era. The drum kit backs up the rhythm with a steady beat. Bass guitar outlines the chord progressions. The song combines rock and pop elements, typical of The Beatles' style.
というプロンプトは役立ちそうではあります。
このプロンプトは生かして、歌詞はTransformerモデルのAttention Is All You Need論文著者が在籍しているというCohereのCommand R+にビートルズっぽい歌詞を書かせて使いました。
そこで生成された3曲のうちの一つがこれ。Stolen Heartbeatsというタイトルがついています。
音源分離も試してみました。
分離した4つのステムはボーカル、ベース、ドラム、その他という、UVR5など多くのステムソフトで使われるパターン。音の明瞭さからすると、いったん2MIXを出力したものをDEMUCSなどで音源分離にかけたもののようです。
Sonautoは演奏も歌もまだ下手くそで、発展途中のサービスですが、こういったライバルが登場したことでSunoとの機能競争が起きるのは喜ばしいこと。
一方で、AIに対するミュージシャンサイドからの反発の動きもあり、こうした実名を使うサービスに対しては議論が起こりそうです。
追記:Sunoを超えたと発言していた投稿者によれば、そのAI技術はUdioという別サービスだということで、これがサービスインすれば、音楽生成AIの分野が活気付くのは間違いのないところです。
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