NASAのアルテミス計画における将来の月探査ミッションに、日本人宇宙飛行士が2名参加することが決定しました。うち1名は米国人以外で初の月面着陸に臨む予定です。
日米首脳会談に合わせて米国を訪れている盛山文部科学大臣は、NASAのビル・ネルソン長官との間で有人月面探査に関する実施協定文書に署名しました。
これにより、早ければ2028年にも1人目の日本人飛行士が月面に降り立つことになります。なお、もう1人の日本人飛行士はこの数年後に、月面へ向かう予定とのことです。
ジョー・バイデン大統領はホワイトハウスで行われた共同記者会見で「私たちはまた、日本と米国の間の科学と教育の絆を確認した。その絆は月まで伸びており、2人の日本人宇宙飛行士が将来のアメリカのミッションに参加し、1人は史上初の非アメリカ人として月に着陸することになる」とコメントしました。
また岸田総理大臣は、日米が「脱炭素化、AI、スタートアップなどの分野で協力を進めることで合意し、さらに宇宙分野でも大きな成果が得られた」「私が米国にいた1960年代前半は、米国における宇宙開発の黎明期でした。私も米国で宇宙への壮大な挑戦に興奮した一人だ。今日、日本による月面探査機の供与に関する実施協定が締結され、2度の宇宙飛行士の月面飛行機会が日本に割り当てられることが確認された。アルテミス計画の下、日本人宇宙飛行士が米国人以外の初の宇宙飛行士として月面着陸することを歓迎する」と述べました。
ちなみに、今回の実施協定には飛行士だけでなく、日本の月面探査車を月に送ることも含まれています。
NASAは先週、非与圧探査車の実現可能性調査を行うことで米国企業3社と合意しています。一方、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)とトヨタが2019年から共同研究を行ってきた有人与圧探査車(ローバー)について、NASAの有人月面移動プログラム・マネージャーであるララ・カーニー氏はもうすぐ発表があるだろうと述べました。
JAXAとトヨタによる与圧有人月面探査車「ルナクルーザー」は地球の1/6しか重力がなく、温度がマイナス170~210℃まで大きく変動する厳しい環境である月面において高い信頼性、耐久性、走破性を備えるべく研究開発が行われています。
ルナクルーザーは、計画では2031年に月面に向けて打ち上げられ、2032年に2人めの日本人飛行士がこれを操縦するために月面に向かうことになります。
ちなみに、タカラトミーはルナクルーザーがトランスフォームしてロボットになる玩具「ルナクルーザープライム」を発売しています。もちろん、本物のルナクルーザーは変形しません。