AmazonのミニPC価格チェックが趣味の筆者は、格安ミニPCをこう探してます。前編:CPU選びの基本と販売元の見分け方 #てくのじ何でも実験室

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宮里圭介

宮里圭介

ディスク収集家

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需要のわからない記事を作る自由物書き。分解とかアホな工作とかもやるよー。USBを「ゆしば」と呼ぼう協会実質代表。

特集

Amazonで格安ミニPCを探して買うのが趣味の筆者が、選び方・見分け方の基本、販売元やAmazonのセール・値引き攻略法を前後編でお伝えします。

前編の今回は、CPUの世代と性能の基本、Amazon特有の販売元・出荷元の注意点など。

買う側にも一定の覚悟が求められるジャンルの製品ですが、末尾には現時点のおすすめ格安ミニPC 6機種のリストもあります。


後編はこちら: AmazonのミニPC価格チェックが趣味の筆者は、格安ミニPCをこう探してます:三種の割引きに注目、確認すべき仕様編 #てくのじ何でも実験室



NUCを代表とするミニPCは、今ではデスクトップPCの一角を占めるほどのジャンルとなっています。とくに最近元気なのが、海外勢のミニPCです。


それなりの性能で、普通のパソコンとしてある程度使えてしまうと評判のN95やN100といったCPU(Alder Lake-N)搭載機であれば、メモリー 16GB+SSD 500GBモデルであっても2万円ちょっとで買えてしまいます。

これでWindows 11までインストールされていますから、注目されるのも当然でしょう。

▲CPUがN95、メモリーが16GB、SSDが500GBなのに2万400円です

ちなみに、メモリーが8GBのモデルならもっと安く、1万7000円くらいで買えることすらあります。OS単体より安かったりしますから、世の中の仕組みってよくわかりませんよね。

Alder Lake-Nが何者かというと、第12世代Core iのEコアだけで構成されたかのようなCPUです。

2~3万円の価格帯で搭載されているのは4コア/4スレッドモデルで、実力としては、第11世代のCore i3よりも若干低いかな、といったくらいになります。

それでも、少し前のエントリー機並みの性能がありますから、ブラウザーを使う、動画を楽しむ、オフィスソフトで書類を作るといった軽作業なら、さほど困りません。

多少時間はかかりますが、ちょっとした写真現像やレタッチなんかもこなせるでしょう。

ただし、動画編集をしたいとか、配信PCにしたい、PCゲームをプレーしたいなど、負荷が高めの用途となると、やはり厳しい。

サブPCとしてなら十分満足できますが、よりPCらしい使い方をしようと思うと、やはり性能不足を感じてしまいます。

なるべく安いのがいいけれど、多くの用途で性能不足を感じずに使いたい。こんな願いをかなえてくれる、絶妙な「格安ミニPC」を探してみましょう。


■ CPUの狙いは型落ちのミドルクラス

個人的に狙い目だと思っているのは、Alder Lake-Nよりも高性能なモバイル向けCPUを搭載したモデル。

ハイエンドCPUを搭載したモデルは性能が素晴らしく、タワー型のデスクトップPCに迫るものすらあります。

とはいえ、そういったミニPCは10万円を越えてしまい、手を出しづらくなります。また、最新世代のCPUを搭載したモデルは価格が高く、価格と性能のバランスがイマイチです。

こういった点を考慮すると、型落ちのCPUを搭載し、4~6万円前後の価格となっているミドルクラスあたりのものが、「オイシイ」モデルといえるでしょう。

もう少し具体的にいうと、インテルのCore iシリーズであれば第12世代以降のCore i5やi7、AMDのRyzenシリーズであれば、5000シリーズ(ただしZen 3)以降のRyzen 5や7を搭載しているモデルです。

この理由を雑に解説すると、インテルのCPUは第8世代で多コア化へと舵を取り、マルチスレッド性能が大きく上昇。第12世代では高性能なPコアだけでなく、電力効率の高いEコアを追加することで、さらに性能が上昇しています。

つまり、第12世代以降のCore iシリーズ搭載機であればイマドキの性能となり、ストレスなく使えることが期待できます。

▲第12世代からはEコアが加わり、コア/スレッド数が増えました

コア数が性能の全てではありません。Eコアがあれば最大性能が上がるだけでなく、軽負荷やアイドル時の電力効率の改善も見込めます。つまり、熱や騒音対策としても効果が期待できるわけですね。

他方、AMDのCPUでも状況は似ています。Ryzenは5000シリーズから、シングルスレッド性能が大きく上昇したZen 3の採用が始まりました。

6000シリーズではZen 3+へと進化し、電力効率がアップ。同じ性能なら省電力化できますし、同じ消費電力ならより高クロックで動作できるのが強みです。7000シリーズで採用され始めたZen 4では、さらに性能と電力効率が上がっています。

ミニPCはCPUクーラーのサイズが小さく、冷却性能を高くしづらいだけに、電力効率は重要。それだけに、AMDのCPUを選ぶならZen 3+以降、価格を安くしたければZen 3で妥協するのもアリ、といった感じです。

ちなみに、Ryzenは同じシリーズに異なる世代のコアが含まれているため、判別が難しいので注意。

例えば、Ryzen 5 5600UやRyzen 7 5800UはZen 3ですが、Ryzen 5 5500UやRyzen 7 5700UはZen 2です。また、Ryzen 5 5560UとRyzen 5 5500HはZen 3ですが、L3キャッシュが8MBと少ないので、Zen 3としては少し見劣りします。

雑にまとめれば、「5000シリーズは100の位が3/5/7だとZen 2、もしくは、L3キャッシュの少ないZen 3なので避けた方が無難」と覚えておくのがいいでしょう。

▲Ryzen 5000シリーズはZen 2も混ざっています

「AMD Announces World’s Best Mobile Processors In CES 2021 Keynote」より引用

ついでにいうと7000シリーズも少しややこしく、Ryzen 7 7735HSはZen 3+ですが、Ryzen 7 7730UはZen 3、Ryzen 7 7740HSはZen 4です。

とはいえ、10の位以下が35ならZen 3+、30ならZen 3、45か40ならZen 4と見分けられるぶん、5000シリーズよりはマシです。

ちょっと面白いのが、Ryzen 6000シリーズと7000シリーズで、一部構成が被っていること。例えばRyzen 7 6800HとRyzen 7 7735HSはどちらもZen 3+で、GPUコアも同じ。動作クロックとサポートするPCIeのレーン数に多少差はありますが、コア数は変わらず、ほぼ同じCPUです。

それでいて、これらを搭載したミニPCは、Ryzen 7 6800Hの方が安め。Ryzen 7 7735HS搭載機の購入を考えているのであれば、Ryzen 7 6800H搭載機も候補に加えておくと、お買い得に買える可能性が高まります。

独断と偏見で、個人的に狙い目だと思う主なCPUと、その搭載機のお買い得だと思える価格をまとめておきます(メモリーは16GB、SSDは約500GBという構成相当)。

この価格を切っていれば、格安ミニPCといえるでしょう(2024年7月末現在)。あくまで個人的に考えた目安なので、参考程度ですが。

CPU

コア構成

価格

Core i5-12450H

4P+4E/12T

4万8000円

Core i5-12600H

4P+8E/16T

5万2000円

Core i7-12650H

6P+4E/16T

6万円

Core i7-12700H

6P+8E/20T

6万4000円

Core i7-13620H

6P+4E/16T

6万8000円

Ryzen 5 5600U/H

Zen 3、6C/12T

3万6000円

Ryzen 7 5800U/H

Zen 3、8C/16T

4万5000円

Ryzen 5 6600H

Zen 3+、6C/12T

4万6000円

Ryzen 7 6800H

Zen 3+、8C/16T

5万8000円

Ryzen 7 7735HS

Zen 3+、8C/16T

6万円

Ryzen 5 7640HS

Zen 4、6C/12T

5万6000円

Ryzen 7 7840HS

Zen 4、8C/16T

7万円

■ 出荷元の「Amazon」と、販売元の評価を確認

お買い得なミニPCを見つけた時はすぐに買ってしまうのではなく、出荷元と販売元を必ずチェック。

海外からの発送となっている場合も多く、荷物が届くまで時間がかかる、送料を入れたらそこまで安くない、トラブル(荷物不着)時の対応で苦労する、といった可能性が高くなります。

少しでも安全に手に入れたければ、出荷元にAmazonと明記されているものを選ぶといいでしょう。この場合、少なくとも実物がAmazonの倉庫にある(もしくは納品予定)ので、高確率で届きます。

▲出荷元が「Amazon」なら、スグに届く可能性がアップ

もうひとつチェックしたいのは、販売元。評価数が少なくとも2桁あり、サクラではない評価があるかをレビューコメントで確認します。

評価数が少ないときはコメントを読んで判断、全くの新規であれば購入は避けるほうが無難です。

ただし、評価数の少ない販売元は信頼獲得のため、安い価格で出品していることもあります。これをチャンスと見るかは本人次第。このあたりは賭けで、価格重視でリスクを取るのもアリでしょう。

▲新規だと多少不安がありますが、安さは魅力です

購入前に必ず確認しておきたいのは、同じ販売元から同じPCが違う価格で出品されていないかどうかです。

「同じPCなんだから同じ価格でしょ?」と思いますし、「そもそも、同じPCが複数出品されてることなんてあるの?」とも思うでしょうが、意外とあります。

とくに色違いは別商品扱いとなりやすく、スペックが全く一緒でも、価格が違うことの方が多い印象です。また、別商品扱いとなっているので、セールやクーポンでの値引き額も変わります。

▲シルバーはクーポン適用後、5万1080円ですが……
▲ブラックはクーポン適用後、4万9580円と安いです

この例でいえば、ブラックのほうがお買い得となります。

サポートの心配もあるし、どうせ買うならメーカー公式の販売元から買いたい、という人もいるでしょう。

ここで問題となるのが、どれが公式なのかわからないこと。ミニPCではそれなりに有名であろうBeelinkを例に探してみましたが、ちょっと探しただけでも日本公式っぽい名前が5つも見つかりました。

▲公式ストア、直営店、-JP、Store、Japanと、どれも公式っぽさがあります

住所と国名を確認してみたところ、「Beelink 公式ストア」(中国)、「Beelink 直営店」(香港)、「Beelink-JP※品質保証」(中国)、「Beelink Store」(中国)、「Beelink Japan」(中国)。もちろん住所はすべて違い、日本は1つもありません。

製品名の下にある「Beelinkのストアを表示」をクリックすると、Beelinkの製品一覧ページが表示されます。このページには「Beelink 公式ストア」と「Beelink 直営店」の項目しかありませんので、どうやらこの2店が公式に近そうです。

▲「Beelinkのストアを表示」で開いたページ。「Beelink 公式ストア」と「Beelink 直営店」がありました

では他は偽物なのか、というとそんなことはなさそうで、単に小売店が違うというだけのようです。公式にこだわらないのであれば、購入時は製品レビューの評価、販売元の評価を参考にしつつ、なるべく安いところで買うといいでしょう。

ちなみにこの5つの販売元は、どこも「MINI S12 Pro」という機種を扱っています。試しに販売価格をチェックしてみたところ、「Beelink 公式ストア」(2万8900円)、「Beelink 直営店」(3万900円)、「Beelink-JP※品質保証」(2万7500円)、「Beelink Store」(2万4352円)、「Beelink Japan」(2万4565円)と、結構違いました(7月末現在)。

■ 現時点のおすすめ格安ミニPC松竹梅

価格や割引は執筆時点のものです。Amazonウィジェットには割引価格が反映されていない場合があるため、購入前に必ず商品ページでご確認ください。

●エントリー+αな価格優先


TRIGKEY N95

Alder Lake-Nの例で出した製品。ここのところ2万ちょっとと、安定して安いです。


AskHand AMD Ryzen 5 5600H

Zen3と世代は古いものの、クーポン適用で3万7600円(執筆時点)

●いい感じお買い得


SkyBarium Ryzen 7 5800U
Zen3ですがコア数多くなってて性能的には高い感じ。


GMKtec Ryzen 5 6600H

多分、今日の中で一番いい感じ(※執筆時点です)

●高性能お買い得


GMKtec Core i7-12650H

メモリがLPDDR5なので増設不可。その代わり24GB+1TBとスペックはリッチ


AOOSTAR Ryzen 7 6800H
例に出していた製品がSSD1TBに増量しつつ価格そのまま5万9900円。

後編では季節セールよりも重要な3つの値引き「タイムセール・クーポン・プロモーション」の理解と攻略、価格を評価するうえで欠かせないメモリ・ストレージ・インターフェース仕様の注目点について解説します。

後編: AmazonのミニPC価格チェックが趣味の筆者は、格安ミニPCをこう探してます:三種の割引きに注目、確認すべき仕様編 #てくのじ何でも実験室

《宮里圭介》

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